芸人先生2 #14 ニッチェ、ありのままで仕事を楽しむ極意を伝授!

見た目から笑えるキャラクターと大胆な演技力で評判な、女性コンビのニッチェさん。前回の野性爆弾くっきーさんに続き、1950年開園、社員41名(アルバイト含め約300名)の 西武園ゆうえんちへお邪魔します。「ニッチェの“ありのまま”で自分たちが楽しもう!講座」(2019年7月15日放映分)をお届けします。

「ゆうえんち?というより植物園」「所沢って感じ」「のどか」「マイナスイオンがたくさんでいいけれど」… 園内で歩きながらそんな会話をし、ニッチェさん会場入りします。

接客を変えていくためのヒントあり

「太っている方の近藤と…」「もっと太っている方の江上(えのうえ)です」というベタな自己紹介でスタートしました。

若手の社員さんからのお悩みを聞きます。「子ども向けの作り笑いになってしまう。自然な笑顔が出ない」「子どもさん相手は楽しいが…(大人は難しい)」「もっと楽しんでいただけるようなマイクアナウンスをしたい」など、接客に関する話題が集まりました。

ニッチェさん、あるVTRを見せます。社員の皆さんの接客を記録した様子です。「ちょっと笑顔が足りない。怖すぎませんか?」「(アナウンスが)いってらっしゃい↓と下がってしまう」「笑顔でいいですね」などフィードバックします。社員さん自身も、自分の接客が単調であると気づいたところで、ずばり「問題だなと思うのは、接客を皆さんが楽しめていないのではないか」と切り込みます。

29年目ベテラン社員さんも、最近のお客様が少なくなっていることで、社員のテンションに影響していることを話します。若手の女性社員は、「制服とかもポロシャツとベージュのズボンがお父さんみたい」と、現在の制服にはモノ申したい様子。プールの担当者は「プールの日差しの照り返しが強く、笑顔を作れない」と、働く環境自体も難しいようです。

まず自分たちが楽しんじゃおう

よく聞く「ありのままを受け入れよう!」ですが、ニッチェさんは「恥ずかしいですよね、ダメな自分を受け入れるのは」と認めています。もともと芸人になろうと思っていたわけではなく、女優になろうと思って上京したのだそうです。ある日、面白いことを言っていなかったのにウケたのでなぜかと思ったら、 客が自分の顔で笑っていた。そのことに初めて気づき、顔で笑いを取るというのは素晴らしいこと。選ばれた顔面をもって生まれてきた、と江上さんは思うようにしたそうです。 志村けんさんの「あいーん」なんかもそうですね。

自分を最大限客観視し、自分たちは「ブスだ」というネタができるようになってきたら売れるようになってきたそうです。もちろん、ぶさいくメークをするのでまだ「プライド」は残っているものの、ダメな部分をさらけ出すと愛してくれる、ということに気づいたそうです。

そのエピソードをもとに、西武園ゆうえんちでダメダメなところを、さらけ出そう!という視点。日頃言えないありのままは何でしょう?「施設が古い」「坂が多い」「宣伝するのにいいところがアピールできていない」「屋根付きの場所が少ない」など、十数個の意見が出ました。では、それを受け入れて楽しむには?

Photo by Scott Webb from Pexels

誰かに言いたくなるように発信!

何でもSNSにつなげるのは味気ない気もするのですが、ニッチェさんはツイッターやインスタグラムにアップすれば拡散される可能性がある、と伝えます。ちなみに近藤さんは42,000人、江上さんは39,000人のフォロワーがいるアカウントをお持ち。

見本にしたいのは、ゆってぃのツイート。パチンコの営業で芸人を呼ぶことがあり、人気芸人のゆってぃが来るという宣伝ポスターと同時に、客が1人も来ていない会場の様子をアップしたゆってぃさん。6万リツイート、22万人いいね!を集めました(フォロワー自体は 4万人)。自虐ですが、これが「さらけ出す」の意味で、カッコ悪い自分を認めてしまえ、ということのようです。

園のイメージをプラスに捉えて、ちょっと人に話したくなるような場所は? 「坂が多い=ふくらはぎを見せて、日本一下半身が鍛えられる遊園地」「施設が古い=歴史がある」「屋内施設が少ない=晴れの日最高」など、ポジティブな解釈が出てきました。発言している方も笑顔になり、自分たちで楽しんでいる感じが出ました。

専門家は、これを正直マーケティングと名付けています。ありのままの現状を素直に伝えることで、共感を生むのだそう。北海道の十勝川温泉が、地震でキャンセルが相次いだ後に「元気ないです十勝川温泉」ポスターを作成しました。お部屋あいてるんです、ヒマすぎちゃってサービス向上、など楽しそうな写真とネガティブな言葉を組み合わせたところ、思いがけずにバズったそうです。

朝礼で愛を叫ぶ

実践編として、校舎の屋上から叫ぶように、「私はこの園のこういうところが好き」という内容を共有してもらうミッションを与えました。敢えて言っていなかったことを、いわばカミングアウトしてもらう感じです。

  • 「バイキングを動かしている時のタイヤの音がカワイイ!」同じ意見の人はいなかったけれど、突っ込んであげてね、とニッチェさんフォロー。
  • 「ここから上がる花火と、お客様の笑顔が好きだー」働いている人たちも楽しくなれて、いいですね。
  • 施設担当者から「ジャイロタワーの外側からの景色が好きだー」 特定のスタッフしか見られないそうですが、絶景なのだそうです。
  • 管理担当者から「若い人と働けるのはパワーがもらえて好きだー!」これは愛ある上司の言葉ですね。スタッフの皆さん全員が自然の笑顔になりました。

月並みですが、ワクワクする職場、毎日行きたくなる職場になると、お客さんにもその雰囲気が伝染するのではないか、そう思ったニッチェさんの出前講座でした。

Photo by Andre Furtado from Pexels

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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