芸人先生2 特別編 古坂大魔王の、こだわりを岡山から世界に発信!

小坂大魔王さんと言えば、 4億回再生をたたき出したピコ太郎”PPAP”の名プロデューサー。青森出身の芸歴27年、所属はエイベックスです 。1973年生まれなのが嬉しい。今回は特別編 IN 岡山「古坂大魔王の“東京をすっ飛ばして世界へ発信”講座!」(2019年7月22日放送分)です。

今回は、番組宛に岡山市役所から「中小企業の従業員向けに企画、実施してほしい」というお願いがあったそうです。「県外へもアプローチしているがおとなしい印象」「瀬戸内ブランドの知名度が低い」などのお悩みに、小坂大魔王さんが発信方法を伝えます。

場所じゃない。ひとり勝ち。

小坂大魔王さん、早速入場です。白いフレームのメガネが特徴ですね。「わたくし、先生と言いますか、伝えたいことがあって参りました、あなたの心の “内臓脂肪” 小坂大魔王です」と自己紹介。クールな印象もあり、少し先生感が増します。

菓子メーカー、しょうゆメーカー、アプリ開発、化粧品、サーカスまで地元のいろんなジャンルの14社23名が集まりました。「IT系は東京が多く、岡山からどう発信したら注目されるのか」「国内海外問わず活動を広げていこうとしているが、岡山が知られていない、どう発信していいのか」など課題をかかえておられる社員さんたちです。

Photo by Engin Akyurt from Pexels

提案は「東京をすっ飛ばして世界へ発信」

ここで力強い言葉です。「場所、関係ありません!全く関係ない!発信の方法です」と。PPAPは「ぼくんちで撮影、編集して、移動途中の車の中でアップした」のだそう。

そして小坂大魔王さんの経験からして伝えられることは「地方でラッキー!」。小3からお笑いをやると決めて、中1でコンビ組んだ。周りには「無理」と言われるが、逆に敵がいない。思いついてやっちゃえば一人勝ち。東京には1,300万人いるし、やっかみも多いのに比べ、岡山は競合相手が少ないことが利点となるそう。

次に、「ギャップがあるから目立つ」ことも生かせます。東京だったらあるかな、というものでも、岡山?というとギャップがあるので、ニュースになる。そしてネットがあれば発信できる。「世界基準でモノを考えよ!」と力強い言葉です。では、具体的にどうしたらよいのでしょうか?

分かりやすさ+違和感+こだわり

どうすれば自分の商品をアピールできるのか。たまたま振り返ったらこうだった、というPPAPの事例をみんなで鑑賞します。1分だからできますね。

1分のうちに「かわいいです」「まんま」「名曲ですね~」と解説を入れていく小坂大魔王さん。そして、ヒットの要因を会場の皆さんから伺います。「誰が見ても、自分でもできそう」つまりマネしたくなる。「動きの可愛さのギャップがあり気になる」などの意見が出ます。

ここで、「分かりやすさ+違和感+こだわり」の方程式が出ます。まず、分かりやすいことは大切、この動画は1分です。SNSを見る人は忙しいため、5分はくれないが1分はくれるとのこと。

次に、違和感は相当大事。こわもての人が急にかわいい踊りをする違和感があります。

では、最後のこだわりは何でしょうか。この動画は言葉や文字に関心が行きますが、同時に音も耳にしています。その部分に本物をつぎ込んだというのが、小坂さんのこだわりです。音楽を20年やっているので、YMOが使っていたシンセサイザー(リズムマシン)、今ならビンテージもののTR808を使いました。当時このビートを刻むだけで50万円したのだそうです。

このサウンドトラックを最初に褒めてくれたのはDJ KOOさん。アリアナグランデやカニエ・ウェストをプロデュースしたクーター・ブラウンさんも、「トラック最高じゃん!」と言ってくれたのだそうです。このこだわりに、作品としての厚みを増す効果があります。

ビジネスにどう有効か?の観点で見ると、ピコ太郎さんのやり方は、実際たくさんあるそうです。例えばねじ外し(ねじ穴のつぶれたねじを上手に抜くための道具)は、特化されていてシンプル。今治の池内タオルはオーガニックにこだわっていおり、風力発電でタオルを織るため、「風で織るタオル」と言われます。このように突き抜けると、他がかなわないそうです。

バズるには「多面的」+「一極集中」効果

なぜPPAPは爆発的ヒットしたのか?1億人のフォロワーを持つジャスティン・ビーバーの効果は言われていますが、その一歩手前にちがう理由もありました。「今日の〇時に個人で作った動画をアップするから、面白いと思ったらその時間帯にツイートしてくれない?」とお願いしたそうです。街中にも、一年のうち1、2日全部同じアーティストのポスターが貼られていたりすると、あれ?と思いますね。そういうことがツイートで話題になるため、なるだけ多面的に、広い方向にお願いした結果、ジャスティン・ビーバーにつながったのだそうです。

世の中的には、 人から人に移っていくように拡散するバイラルマーケティングと言ってよいでしょう。資生堂の「メーク女子高生のヒミツ」(2015)は、逆生成の手法で驚きが隠されています。この思わず伝えたくなる仕掛けで、女子高生の口コミが広がり1,000万回以上再生。低コストで爆発的に情報を拡散できる結果となりました。

どう「多面的」を作るか

ここまで進めて、「芸能人だからできるんだよね?」と思っている参加者もまだまだいます。しかし小坂さんの提案は、この他業種の集まりこそ「岡山の中で多面的じゃないですか」と。「僕がインフルエンサーに頼んだみたいに、それぞれの企業さんにファンがいますから、ここでグループを作りましょう」と提案します。

ワークショップでは、「他社の商品をPRしてみよう!」というお題が出ました。地元愛溢れる皆さんから、商品やサービスの情報交換が始まります。

カバヤ食品をPRするキャッチとして、「カバヤやばっ!」理由は、カバヤ食品がエッジの効いた商品を出しているからだそうです。木下サーカスさんは、女性が厚化粧をするので、化粧品メーカー無添加工房とコラボして「美しく見せるための厚化粧」をキャッチコピーに。返礼として、「KDS化粧品を使ってもらう」(KDS=木下大サーカス)という提案もありました。

小坂さん、「無責任な方がいい」と名言。会社の中では受け入れられないような話題でも、ウケた笑いは本物なんです、と。そして「このメンバー全員が世界に行くんだ!という思いが大切」と締めくくりました。

Photo by Artem Beliaikin from Pexels

芸人先生シリーズ、これまでの中で一番よかったなーと思います。これからは地方の時代、そしてグローバルの時代。東京はそのどちらでもないからです。大事なのは、考え抜く力。SNSは誰にでも与えられているツールだからこそ、 ホンモノを発信する覚悟が必要ですね。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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