芸人先生#4 横澤夏子のお芝居的コミュニケーション術

「すごいですねー、威圧感たっぷり 」

後ろから会場に入ってくるなり、このコメントでわっと湧かせる。さすがです。今回も受講者は池袋の東武百貨店の社員の皆さん、「横澤夏子 苦手な上司とのつきあいが上達するコミュニケーション講座」(2019年4月22日)放映分です。採録ほど正確ではありませんこと、ご容赦ください。

上司とのコミュニケーション、モチベーションの上げ方、年齢が離れていてクセの強い従業員、など、社員さんのお悩みは尽きないようです。そこへ横澤さん、「ネタの宝庫ですね」と一言。これが今回のエッセンスを凝縮して表しているようにも思います。

普通なら、「大変だよね」「それ最悪、ストレス溜まる」と同調、同情して終わりのことが多いからです。人に関心を持つこと、そしてポジティブ思考があることで、こうも捉え方が変わるのですね。

苦手な人がいたら、映画監督になって観察する

「会話が続かない」というお悩みの社員さん。横澤さん曰く、その理由は「相手に興味を持っていないから」。たしかに、相手から情報を得ようとしなくなり、目や耳を閉ざしてしまうかもしれません。

「私が映画監督」作戦

横澤さん、 自分が映画監督になったつもりで、 苦手な人たちをある役に当てはめてタイトルをつけることを、お勧めします。

例えば「日本の水やわらかい!」という女性がいたら、少しイラっとします。横澤さんはすかさず、海外に行ったことがあるかな?と想像し、『世界をまたにかける女』と名付けちゃう。ディスるまでいかない、ギリギリの笑いを取ります。有吉弘行さんも同じな気がしますが、ネーミングセンスが抜群ですよね。和田アキ子さんを「R&B リズムアンド暴力」と名付けたのが好きなのですが、グッと落としつつちょっと上げているのです。

Photo by Joseph Redfield from Pexels

何か思い出し事があり、おでこに人差し指や中指を連打する人を見て、『おでこでピアノを弾く女』。 「5時間も待った」とスタッフに言われ、すかさず『すぐ嘘をつく女』。

こうやって相手を観察することで、自分の心にゆとりができるそうです。

専門家は「心ファイリング」というネーミングを付けました。「苦手」と思うとすべて一緒のカテゴリーに入ってしまう。脳内でファイリングすると、違う角度で見えるようになり、結果相手を客観的に見られたり、親近感がわく効果もあるそうです。

横澤さんは会場から、こういう人だったら話しづらい…という意見をもらいます。「ネガティブな発言が多い人」こちら、『どん底に引きずり込もうとしている女』と命名。「ずっとしゃべっている人」は…?『息継ぎせずにしゃべる女』スゴイですね。

私も後日、初対面で高齢の女性とお会いしたのですが、 ずっと自分のお話で止まらずに、私もコミュニケーション回路を閉ざしてしまいました。その後、横澤さん方式で観察したところ、『自分バナシに変換する女』だと感じ、その人の話を聞くことができました。ちょっとした切り替えで、こうやって変わるのですね。

モチベーションを上げるには、自分が主人公になる

次のお悩みは、遅い時間の勤務の際、「眠い、お腹すいた、帰りたい」という気持ちと戦わなければいけない、そんな時モチベーションを上げたい、という話題です。

「私が主人公」作戦

横澤流モチベーションアップは、「私が主人公」。自分が主人公になり切って演じてみることで、自分を客観視して状況を整理できるようになるそうです。さらに「サウンドトラック作戦」と題して、音楽を決めてもよいとのこと。

仕事をテキパキやりたい時は『ガリレオ』を脳内で再生して天才のようにこなす、企画が今一つ足りなかった時には『白い巨塔』を流してみる、ノルマをこなせなかったら文字通り『ミッション・インポッシブル』をかけてみる…。ここは映画・ドラマリテラシーもある程度必要になりますが、ヒーロー、ヒロインになりきることが大切とのことです。

専門家の目で見ても「自分モニタリング」と言って、自分の前にカメラがあるような気持ちで、自分を冷静に客観視する方法があるそうです。よく上司がデスクに置き鏡をして、口角を上げるよう努力しているのと同じですね。

実践編

参加者に、「自分にタイトルをつけてみよう」というお題が課せられました。~~な女、~~な男 とつけるのです。 ジェスチャーが多い女、棒読みすぎる女、月を見る女、いろいろ出ました。

そして、「見直して気づくことは?」と聞くと、「悪いと思っていたところも、見方が変わった」とのフィードバック。短所がチャーミングになることも、笑い飛ばせることもあります。これも視点を変えることなのだと感じます。

私自身は何でしょうか。「話がすぐ飛ぶ女」であり、「説明が少ない女」であり、「冷静沈着な女」です。そう笑ってもらえばそれでいいか、と思えるようになりますね。何となく承認してもらった気持ちになるからです。

そして横澤さん、授業の後「たくさんネタができた!次の『エンタの神様』で使える」と大喜び。どこまでもポジティブです。

Photo by Donald Tong from Pexels

冒頭に横澤さん、「皆さんを応援する授業です」と発言していました。お笑いの根本にはサービス精神があると思いますし、本当に言葉のとおり、応援する場になったと思います。

同時に、自分をハッピーにするのは自分でしかない、ということもよく分かります。人のせいにしない、自分の人生は自分で舵を取る、これが基本ですね。


Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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