食の大切さ 保育園児から教わる

『いただきます みそをつくる子どもたち』(2017)

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もともと、主義主張の強いドキュメンタリーには、内容問わず反発する気持ちが出てきてしまうため、若干警戒しながら見た『いただきます』。同時期、友人の間で流行っていた酵素玄米は、どうもまゆつばだったのだが、本作品で一気に玄米ファンになってしまった。

作品は、はだし保育などでも知られる福岡の保育園の食育をつづる。園児の味噌づくり、玄米昼食、100回噛むこと、など実践している。玄米以外には一汁一菜、野菜、豆、海藻が中心で、魚もせいぜい煮干し、ちりめんなどが入るくらいだ。

私自身、小さいころから肌のトラブルがあったのだが、「遺伝子レベルでは、食べ物の変化にそんなにすぐついていけない」という言葉に説得力あり。実際にアレルギーや肌トラブル持ちの子が入園し、食事で改善しているという。肌トラブルには外的要因と内的要因があると考えられるが、食べ物は内的要因に関係しないわけがない。自分のおばあちゃんが食べていたものを参考にするのがよいらしく、みそ汁や漬物という「菌活」も始めるようになった。

私自身、玄米生活を始めて一年経つが、食べ始めの数か月で自然に体重が5-7キロほど落ちた。白米はおかずをたくさん必要とするし、特に外食では味付けが濃いので、たまにしか食べなくなった。自家製味噌や梅干しを仕込むようになり、家の掃除も米とぎ汁乳酸菌を活用するなど、今ではちょっとした菌オタク。

子どもたちが、大切なことを体で教えてくれた気がしている。

「カメ止め」人気が止まらない!

『カメラを止めるな!』(2018)

kametome映画評論をする者の性分として、映画を見た後にどうしてもしたくなってしまうことがある。
それは、その映画を①監督の過去の作品と比較し、テーマや表現の側面から分析すること、そして②映画史の大きなカーペットの上に作品を位置づけようとすること。

カメラを止めるな!』(2018)は、上田慎一郎監督の初長編作品で、すでにご覧になった方も多いと思う。作品は、大きく2つのパートに分かれている。前半はホラー、後半はコメディだ。

映画自体にフォーカスを当てた作品、映画について自覚的である作品は、Self reflexive と呼ばれる。『カメラを止めるな!』も、映画制作自体がテーマだ。

映画について自覚的な作品としてよく例に挙げられるのが、ウッディ・アレン監督『アニー・ホール』(1977)、ロバート・アルトマン監督『ザ・プレイヤー』(1992)。シーンでは伊丹十三監督『タンポポ』(1985)など。

 

前半のホラーは、37分ノンストップ。ハンドカメラの手ぶれも、長回しという技術も、これまであったやり方だ。ビデオカメラの一般化とともに、カメラの機動性が高くなり、少人数でも扱いやすくなり、『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(1999)と似た印象。これも低予算で大ヒットを記録した。長回しは劇映画でも全編ワンカットを謳っている作品があり(フィリピン『人質交換』(2015)など)、ドキュメンタリーは基本カメラを止めなければワンカットになる。

後半はコメディ。サスペンスと似ているが、自分が知っていることを誰かは知らない、というところにギャップが生じ、笑いが起こる。「刑事コロンボ」シリーズをご存じだろうか。犯行シーンはいつも冒頭、そして犯人を追い詰めていく刑事さんに、観客は同化しつつ、名案にうなり、共感を寄せる。

「カメ止め」で素晴らしかったのは、キャスティングだと思う。劇中劇の映画監督は、濱津隆之さん。ペーソスたっぷりの表情で、観客のエールを集めるキーパーソンだ。劇中劇で助演女優となるしゅはまはるみさんは、個性派の小林 聡美さん、片桐はいりさんらの系列に入れてよい大物感あり。そして、主演女優の秋山ゆずきさんも、女性に嫌われるタイプの女性を好演している。

トム・ダッシュだけで価値あり

「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」

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MI6撮影時、御年55歳か。トム・クルーズのすごさを拝みに行く価値のある映画。トムにスクリーンで会えたなら、どんなにあのBGMのパーカッションで煽られようとも、無意味にヘリコプターを使ったシーンが続こうとも、気にならない。

一番の見どころは、トムの100メートルダッシュ。私は「トップ・ガン」世代でもあるので、映画を見始めたころからトム・クルーズと一緒に歳を重ね、人間だれしもそうであるように、体力の衰えも感じている。だからこそ、100メートルダッシュするトムをそれだけでリスペクト!!

走ると言えば、「あぶない刑事」。舘ひろしさん、柴田恭兵さんがいつも疾走していた。「さらば あぶない刑事」(2016)でも還暦過ぎたお二人の猛ダッシュが見られて、感激!

ほかの見どころもご紹介。一つは、街ロケ。「映画で町おこし」なんてのもよく聞く一方で、パリが出てもロンドンが出ても何とも思わないのではないか。いやいや、パリにはセーヌ川、ロンドンにはテムズ川があって、橋がある、観光名所がある、カフェがある。チェイスにはぴったりの環境。特にパリでは、放射状の街並みでオートバイのチェイスがあり、こっちからも責められた、次もダメ、とどんどん追い込まれていく様子が画面から伝わってくる。

脇役も素晴らしかった。アンジェラ・バセットがCIA長官として登場。アンジェラと言えば、「マルコムX」(1992)で演じた妻ベティ・シャバズ役が印象的で、可憐かつ芯のある女性のイメージ。今回の役は随分貫禄あり、図太さも含めて好演。

以下、少し残念だったところ。

▼アジアのプレゼンスが弱い。謎の男はアジア系だが、セリフがなくすぐに殺されてしまった。

▼日本語字幕。戸田奈津子先生はトム・クルーズが絶大な信頼をおく字幕翻訳者だが、御歳のせいか、現代の日本語感覚から少し離れる。一つ覚えているのは、「足を洗う」―――書き言葉としてありだが、登場人物の会話テンポとなじまなかった。

▼2時間半。なぜ?

「モテ」への違和感を確信したとき

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少なくとも2000年くらいまで、ティーンや20代が読む男性ファッション誌では、「いかに女性にモテるか」がテーマだった。男子中高生がバンドを始める動機のダントツは「女子にモテたい」だというのもよく聞く。一方で、女性が「いかに男性にモテるか」を公に追求することは、何となくはしたないことのような気がしていた。

2018年の今、そう思う人は少ないだろう。ティーンや女性誌、オンラインでももちろん、いかにモテるか、ゆるふわ、涙目、… 男性ウケするメークやファッションが満載。

今年に入って、メンタルの世界を勉強をした時に、自分が「モテ」に違和感を持ち続けた長年の疑問が、腑に落ちた瞬間があった。

「モテ」とは、「他人に自分の評価を委ねること」だと分かったからだ。

他人からの評価は、モチベーション維持に大切な場合もある。小さい頃は、親から褒められたい一心でお手伝いしたりもする。ただ、大人になるにつれて、自分で自分をハッピーにする方法を学んでいかないといけない。

「モテ」ている時の心理状態。相手への依存心が生まれる。私は好かれ続けなければいけないと感じ、モテている状態を楽しむ余裕がない。または、いつか離れられてしまう不安にかられる。

「非モテ」の時の心理状態。私はモテないから価値がない、自信を持てない、と自分を過小評価してしまう。

少し大げさに書いたので、こんな人ばかりではないのは分かっている。お伝えしたいのは、「どんな状態の自分もオッケー」と思えることだ。男性も女性も、自分がなりたい自分になると決めること、努力すること、そして理想になれてもなれなくてもご機嫌でいる姿が、きっと一番素敵に見える。

自分は若いころからモテたためしがないし、負け惜しみと思われてもよい。モテは脇に置いて問題なさそう。「非モテ上等」なのだ。