BTTFに出ていたかもしれない大物俳優たち

テレビの威力は相変わらずスゴイわけで、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(BTTF)が一気に話題になっています。35周年のようですが、オリンピックも延期され、それならばという感じのお祝いでしょうか。

1985年、ティーン(13歳~)を目前にした小学生の私が、アメリカ映画への敗北感を覚えた映画と言っても、過言ではありません。「チキン」(弱虫)という英語を覚えた映画でもありました。

主人公マーティ・マクフライ役のマイケル・J・フォックスとドク役のクリストファー・ロイド両氏のハマり役になりましたし、まるでジャイアンのようないじめ役ビフなど、脇役設定も秀逸。起承転結もあり、エンターテインメントにおける脚本の素晴らしさを、教科書的に教えてくれます。

最近の衝撃の話題として、マーティ・マクフライ役のオーディションをジョニー・デップが受けていたという…。

しかしそんな事実はファンなら当然知っていることのようなので、今日はこの名作シリーズの主役を勝ち取ったマイケル・J・フォックス以外の俳優さんたちを紹介します(出典:Vulture, “The Lost Roles of ‘Back to the Future’”)。

エリック・ストルツ

一番最初に挙がるのがこの方の名前ですね。当初、マイケルが人気TVシリーズ『ファミリー・タイズ』(お茶の間コメディ)の関係で受けられず、オファーは次点候補のエリック・ストルツに。

『ファミリー・タイズ』
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マイケルと同じ1961年生まれ、当時20代前半のエリックを起用し、映画は撮影をはじめます。演技に定評のあったエリックですが、「コメディ要素が足りない!」と言うことで、その間に撮影の都合がつくようになったマイケルへと、主役交代劇となりました。

エリック・ストルツさんの身長は180㎝、マイケル・J・フォックスさんは163㎝と言われているので、エリック版だとずいぶん高身長のマーティが出来上がっていたことになります。二人の顔の作りはとても似ていて、画面で見るとそっくりというか。

https://upload.wikimedia.org/wikipedia/en/5/58/StoltzasMcFly.jpg

エリック・ストルツさんの代表作は、難病により顔に奇形を生じる主人公を演じたヒューマンドラマ『マスク』(1984、日本でも公開)、そして正反対のチンピラ役で出ている『パルプ・フィクション』(1992)でしょうか。

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ジョン・キューザック

1966年生まれのジョン・キューザックさん、日本にはファンも多いと思います。『マルコヴィッチの穴』(1999)『ハイ・フィデリティ』(2000)など。

『マルコヴィッチの穴』
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Vulture記事によると、キューザックさんはBTTFのオーディションには落ちるものの、その後ヒット作に恵まれ、あの『スタンド・バイ・ミー』のロブ・ライナー監督がその前年に作った『シュア・シング』(1985、日本でも公開)で主演、『やぶれかぶれ一発勝負!!』(1985、日本でも公開)でも主演など、快進撃を見せます。

『やぶれかぶれ~』は、原題が『Better Off Dead』(死んだほうがまし)で、字幕なくてもなんだか笑っちゃうコメディ。キューザックのコメディタッチなら、BTTFも行けたかもしれませんね。

C・トーマス・ハウエル

Cはクリストファーで、通常はミドルネームを使っておられる1966年生まれのC・トーマス・ハウエルさんも、最終候補に残っていたとのこと。あのコッポラ監督の『アウトサイダー』(1983)で主演とのことですが、あまり印象に残っていません。初演が『E.T.』(1982)の端役ですから、父親がスタント・コーディネーターだという映画ファミリーならではの経歴をもちます。

このスチル、奇跡の一枚かもしれませんね。パトリック・スウェイジ(『ゴースト/ニューヨークの幻』)とロブ・ロウ(『セント・エルモス・ファイアー』)とのスリーショットです!キャーッ!

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私は『アウトサイダー』の誰かに肩入れしているということはないのですが、こういう青春映画に出ている20代前半の売れっ子俳優さんたちは、Brat Packという呼び名が付きました(名付けられた雑誌の表紙はこちら)。この時ちょうどロスのハードロックカフェでスクープされたみたいで、扱い方は今で言うチャラ男かパリピでしょうか…。よく〇年組、〇世代と名付けられることもありますが、これだけごっそりイケメンたちがいるなんて、アメリカの映画俳優の層の厚さを感じます。

勝手な検証ですが、C・トーマス・ハウエルさんもエリック・ストルツの系譜に入るかと。コメディよりもシリアス&ヒューマンな感じが向いているかもしれません。

ジョニー・デップ

ジョニー・デップさんの場合は、オーディションで審査する側の記憶にも残っていないとのことなので、雰囲気に合わなかったか、そんなところでしょうか。

ジョニー・デップさんのデビュー作は『エルム街の悪夢』(1984)ですが、出世作と言うと、一応テレビドラマ『21 ジャンプ・ストリート』(1987)のようです。わかッ!

https://www.imdb.com/

いわゆる警察コメディらしいのですが、2020年の視点で見てもダイバーシティ感が出ていて、いいじゃないですか!

まとめると、結局みんなそれぞれのタイミングで作品に恵まれて、ファンに愛されているので、今ではマイケル・J・フォックスあってのBTTFという地位に成長していると思います。役名がマーティ(Marty、マーティンの相性)なので、「マ」つながりのマイケルと相性よい気がするし、小柄なマイケルの軽やかな感じや、時に怯えた感じも、もフィットしたと思います。

パート3(西部劇)のことはすっかり忘れていましたが、パート2の放映も楽しみにしています。

https://twitter.com/kst050z/status/1270552667991900160

あと、イギリスでは演劇でも展開しているようで、日本の役者さんでも見てみたいですね(BBC.com, “Back To The Future is being rebooted – on stage, not on screen”)。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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