せまい空間での出来事… 『リアリティ』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
本日は、『リアリティ』をご紹介。「第2のスノーデン」と呼ばれた女性を主人公にした話、サスペンス好きの私としては、ぜひ観てみたいと思いました。ティナ・サッター監督作品です。
前情報ゼロで臨んだ本作品、さっそくひと言に行ってみましょう。
『リアリティ』へのひと言
低予算映画と同じ作り... 後で演劇と分かる。
本作は、リアリティ・ウィナー(Reality Winner)という女性が自宅で逮捕されるまでの82分の録音をベースに、役者が再現したものです。「リアリティ」がお名前というのも驚きでした。
物語はリアリティの自宅外で始まるのですが、やがて家の中に入り、ある一室で話をし始め、そこで延々と会話をします。
私がこの時頭をよぎったのが、『レザボア・ドッグス』。低予算映画だったからこそ、撮影場所は少ないです。
『リアリティ』は予算について公開されていないのですが、監督がもともと劇作家で、「Is This a Room」という作品がベースになっているとのことです。
演劇であれば、ステージで全てが進行しますから、納得。
こちらは演劇のビジュアルですが、機密文書のリークを扱っていますから、こんな感じになりますね。
映画の進行としては、一部屋しかないため、バストアップ(胸から上のショット)が中心。画面が単調になりがちかもしれません。主人公リアリティを演じたシドニー・スウィーニーと、FBI捜査官のジョシュ・ハミルトン、マーチャント・デイヴィスが実際に着ていた服に似た装いで、現場を再現したので、ドキュメンタリー的なドキドキ効果があったと思われます。シドニー・スウィーニーの「普通の子」っぷりが素晴らしかったです。
アメリカの多様性
この事件は、25歳の女性が逮捕され、5年の実刑を求刑されたことでも注目されました。そして、国(権力)が逮捕した人を中心に据えて、作品になるというのも、アメリカらしいと言えます。
作品を観終えると、この主人公は悪だったのか?というのも疑問です。リアリティの名字が「winner」(勝者)というのも、何とも。
こういった事件は忘れられることが多い一方で、こういった演劇や映画で繰り返し語るという文化の力は、決して軽視できないと思います。
さらに服役中のリアリティ・ウィナーに対しても、ドキュメンタリーが作られているようです。
セリフへの注目
本作品は、実際の会話に基づいているとのことで引き込まれてしまいましたが、会話の中にはFBIの「会話術」がふんだんに多用されていたとのことです。
チラシには『元FBI捜査官が教える「情報を引き出す」方法』が引用されていました。私が思い当たるところで言えば、主人公が飼っているペットに対する質問や気遣いなどは、主人公が心を開くきっかけとなっていました。というか、観ていて悪い人に思えなかったことと、昭和の刑事ものみたいに「白状しろ!」(机をバンッ)とはちがう形で自白を促すので、まさにそこが訓練の結果なのですね。
最後に。内部告発者のことを、”whistleblower”と言います。”deep throat” “internal informant” とも言います。英語の勉強になりました!