三つ巴のバランス最強!『コンペティション』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

ペネロペ・クルスアントニオ・バンデラスの共演で、観ずにいられないと足を運んだ『コンペティション』(2021)。原題は「Competencia oficial」(公式コンペティションの意)。実はこの二人は共演したことがないそうですが、お二人とも、私がスペイン人監督ですぐに思い浮かぶペドロ・アルモドバル監督作品には出ています。

物語は、風変わりな女性監督ローラと売れっ子俳優とベテラン舞台俳優の3人が織りなす、映画制作の裏側を描いています。では早速ひと言へまいりましょう。

『コンペティション』へのひと言

コメディエンヌ、ペネロペ!

この作品のよさは、何といっても俳優が素晴らしいことです。最近すっかりペネロペ・クルスのファンになってしまった私ですが、この作品でも愛くるしいペネロペを観ることができます。彼女の演技の幅の広さも感じますし、当人が真剣だからこその失笑も誘えば、エールを送りたくもなります。もちろん監督と俳優の関係で言えば上に立っていますし、自己表現最優先で、俳優にまったく媚びないアーティストという感じ。

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そこに、高校生がそのまま大きくなったようにやんちゃなバンデラス(フェリックス役)、そしてインテリ風の舞台俳優、オスカル・マルティネス(イバン役)という大御所同士が張り合う。映画と舞台というちがいがあって面白いのですが、このプライド対決の緊張感に耐えられるのは、これまた個性的な監督しかいないのです。

この3人を中心に、大富豪のお爺ちゃんプロデューサー役のホセ・ルイス・ゴメス、ローラ監督が信頼を置くマッシュヘア秘書役のナゴレ・アランブルも独特な存在感を出しています。

そして、コメディは国を超えるのが難しいと言うことがあるのですが、本作はそれでもよく入ってきたなと思います。もちろん、スペイン語での罵声などは直接的には分かりませんが、大物なのにやっていることは幼稚だったりセコかったりするので、そこに人間性が出て面白いのです。

そして、主にリハーサルを取り上げるということもあって、作品の進行が演劇じみているところも面白い。観客として、ステージに立つ3人を見ているという感覚にもなります。

映画回顧の流行

最近、映画という媒体を作り手が懐かしむトレンドを感じます。タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』もあれば、最近だと『バビロン』やスピルバーグ監督の『フェイブルマンズ』もそうでした。

映画評論ではself-reflective cinemaと言うのですが、映画制作について自覚的である映画、とでも言いましょうか。MUBIにはリストもあります(リンク)。

「映画業界あるある」がどの程度国境を越えたか分かりませんが、当事者にしか分からない話題もあったかもしれません。この映画のような風刺はもしかしたら日本では難しいですが、だからこそ役者を使って架空のストーリーでやる、という手法も取れますね。大御所の意地の張り合い、なんてよくありそうなテーマですから。

インテリアがスペイン

本作はガストン・ドゥプラット & マリアノ・コーン共同監督ですが、お二人ともブエノスアイレス出身。『ル・コルビュジエの家』(2009)などを撮影したというから、空間デザインやセンスに長けていることは想像がつきます。

本作では建物の内観も外観もたくさん出てくるのですが、日本人からするとまるで三密回避しているかのように、机もイスも建物も何もかも広々。うらやましいほどの空間で撮影の現場が展開されています。スペインの建築に詳しいわけではありませんが、北欧ともフランスともイギリスともちがう建物が大画面に広がり、あーいいな!と目が喜ぶ作品でした。

映画公式サイト:https://competition-movie.jp/index.html

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Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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