「モキュメンタリー」を別の表現で言える?

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こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

トリンドル玲奈さんの記事が一時的に検索上昇し、Abemaの『私たち結婚しました2』の影響だと分かりました。Abema TVはZ世代と相性がいいし、勢いがすごいですね。

この番組は、結婚モキュメンタリーと言われています。

https://abema.tv/video/title/90-1599

司会の方々も、モキュメンタリーの説明にはモゴモゴ… という感じですね。モキュメンタリーの意味がパッと分かった人は、英語の上級者かもしれません。

ネットにも出ていますが、モキュメンタリーはモック(mock)とドキュメンタリー(documentary)をかけた造語、スペルはちょっと変わって mockumentary。そしてモックの方が馴染みのない言葉です。

私はイベント制作の裏方にいた経験があるので、2つピンときました。一つは、「モックアップ」(mock-up)、これは試作品を指します。例えばソファなどで、大量生産の前のデザインの段階で、使い心地を試すために作ります。通常はモノ(道具)です。

ケンブリッジの辞書を見ると、モックアップは3つの説明がありました。

  • a full-size model of something large that has not yet been built, showing how it will look or operate
    (実物大の模型で、大抵はサイズ大きめ、見た目や使い方を試すために作る)
  • a plan of how a page of a website, magazine, newspaper, etc. will look when it is finally created
    (ウェブサイト、雑誌、新聞の1ページで、最終形をイメージして作られたサンプル)
  • a model of something, which shows how it will look or operate when it is built, or which is used when the real thing is not yet available
    (実際のものがまだできていないが、見た目や使い勝手を試すためのサンプル)

これは大きくないけど、試作品のイメージとしては、こんな感じでしょうか。

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「モック」のもう一つの例としては、記者会見(press conference)の模擬バージョンつまり予行練習を、mock press conference と言ったりします。

なので、モックは何かと聞かれると、「擬似」ですね。模擬国連は、本物と同じようにする、という意味はあるものの、英語では model United Nations。Modelの使い方からすると、「手本とする」という感じですね。擬似の会見は、会見に登壇する本人たちが練習のために出ますから、模擬国連とはちがいます。

「私たち結婚しました」は、擬似体験としての結婚。偽装ではないです、念のため。

Wikipediaでは、モキュメンタリーを「ドキュメンタリー映像のように見せかけて演出する表現手法」(出典)と説明していて、私はこれがすんなり理解できます。しかし、トリンドルちゃんが出てきたら、ドキュメンタリーとは思いませんよね。

もう少しドキュメンタリーっぽかったのは、私の世代だと日本テレビの『進め!電波少年』(ヒッチハイク、懸賞生活)、フジテレビの『あいのり』で、あいのりは恋愛バラエティ番組と形容されていました。『テラスハウス』『バチェラー・ジャパン』シリーズも同じですね。

さて、このような形態を指すのに、他にどんな表現があるかというと、私が思い浮かぶのは「リアリティ・ショー」(reality show)です。英語だと、一般の人の日常を描いたもの、という定義があるので、タレントさんだと厳密にはリアリティ・ショーとは言わないかもしれません。ただ、日本でもタレントの卵さんたちがたくさん出ているので、境界線は微妙ですね。

オーディション番組も、リアリティ・ショーになります。『パリコレ学』も、その他NijiUも、モー娘。も。

はい、いろいろ調べて、『私たち結婚しました』はリアリティ・ショーであり、恋愛バラエティだと思います!「モック」の部分は、たしかに結婚という設定がかかり擬似となりますが、ドキュメンタリーではないですよね。Abema TVが言葉の目新しさを狙って、「モキュメンタリー」と言ったような感じすらします。

でも、視聴者としては、演出であってもなくても、俳優さんの「素の部分」が出たと思って、もしくは「プライベートを垣間見た」気になって、面白いのです。

「リアリティ・ショー」の言葉通り、リアリティがショーになるくらい、現実が一番面白いというのが結論です。視聴者も出演者も、演出を楽しんだ番組を観たい!

モキュメンタリーも、リアリティ・ショーも、上質の作品は大好きだ!

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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