法律を学んだ先の話
法学部を目指す高校生は、どんな将来を描いているでしょうか?
私自身、法学部を目指したことはありません。能力以前に、興味が持てなかった、法学部は六法全書を読んで弁護士になるためのところ、だから自分には関係ない、くらいの乏しいイメージしか持っていませんでした。
社会人になると、法学部出身の人たちはみな賢くて、文系エリートという感じ。では、法律の知識はどこで使うんでしょうね?
日経ビジネスオンラインに、出口治明氏の「APU学長日記」という連載があります。最近の記事「小中高校もトップが本気になれば変革できる」(2019/1/9公開)で、学長はこんな発言をされていました。
…大学経営に携わるにあたってはじめに勉強したのは、実は「法律」でした。
https://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/082000074/121300013/?P=3
保険会社ならば保険業法、保険法や金融商品取引法などを理解すること。大学ならば教育基本法や学校教育法、テレビ局であれば放送法、というように法律を学ぶことで理念やルール、考え方を知ることができる、というわけです。
ビジネスなら商学部だ、MBAだ、などという安易な発想ではなく、法律の知識があると組織運営の大きな柱として活躍することができますね。
ここでもう一つ、印象的だった話を共有します。カナダの国連大使、国連の軍縮会議の常任理事を務めるローズマリー・マカーニー(Rosemary McCarney)さんが、前職のプラン・カナダCEOとして来日した際、講演をお聞きする機会がありました。
ローズマリー氏が母親に感謝していること、それは十代の頃、自分に法律の勉強を勧めてくれたことだったそうです。例えば学校の先生や地域のリーダーとして周りの人にインパクトを与えることはできる、しかし一生で数えるならば数千人に留まるでしょう、と。それが、法律に関わることで何千万人、何億人という大きなレベルで影響を与えられる、社会をよい方向に動かすことができるから、と教えてくれたそうです。
「人を助ける」と言っても直接的に助けることくらいしか思い浮かばないであろう年齢の女の子に対して、素晴らしいお母様ですね。女性が社会に出て仕事を持つについては、当然のようにクリアされていたことでしょう。この勉強の先に何があるか、社会にどのように役に立てるかを、社会に出る前の人たちにシンプルにお伝えになった、こんな心ある支援が、親子の会話やキャリア教育の現場において展開されることを願っています。