精神論よりもモノで解決? 多様性のかたち
私は頭がキレる人が好きなので、多分に漏れず厚切りジェイソンさんも好きなのですが、先月ちょうどこんな番組を流し見していました。
NHKスペシャル「令和未来会議 2020“開国論”」(2020年3月1日放送)
NHKでよく見る形態ですが、たくさんの意見を拾うために、コメントする人をたくさん用意し、進行がファシリテーターを務めるパターンです。この時は、スタジオの専門家に加え、40名がコメントすべくオンライン参加していました。
「私たちは外国人をどこまで受け入れ、どのような“共生社会”をつくっていくのか」というのがテーマです。
冒頭、特定の国からの住民が多いエリアで、夜の騒音に困っている住民から、「ルールを守れない人は困る、移民拡充には反対だ」という苦情がありました。子どもが夜遅くまで起きていて声を上げたり、爆竹を鳴らしたりする習慣をお話ししていたのではないかと思います。
それに対して、厚切りジェイソンさんのコメントは、いたってシンプル。「壁を作って音が聞こえないようにすればいい」というものでした。
私もはじめは「壁なんて誰が作るの?」と思いましたが、他人の生活習慣を変えるよりもはるかに早く導入できることなのでは、と思い直しました。
アメリカは移民の国なので、ジェイソンさんもこのような問題は慣れっこなのかもしれません。私たちが学ぶべきは、回答は一つではないということ、そして自分の思考を停止させずに、他のアイデアをいくつも考えられることかなと思います。
つい最近も、休校により学校に行けなくなった子どもたちが学童に行くことになり、学童の人員不足が課題となりました。人手不足は学童の責任ではありません。それほどすぐには解決できないと分かっている問題で、当事者としてそれ以外の解決策をどう出せるかが、本当の課題のはずです。
ここからは余談。
先ほどの「壁を作る」のように、モノで解決することには必ずしも賛成ではありません。アメリカやシンガポールには、ゲーテッド・コミュニティ(gated community)という、いわばエリアごと高い塀で囲んでセキュリティをつけ、守られた空間の中で生活する人たちがいます。その中では子どものお散歩も、夜の女性の一人歩きも大丈夫、塀の外はホームレスも薬物中毒者も犯罪者もいて危ない、というわけです。これは高所得者にしかできない解決法なので、モノよりはカネで解決という感じかもしれません。先ほどの「壁」は双方の解決になりますが、こちらは「自分がよければよい」一方的な解決法という感じがします。解決するからには、やはり三方よしを目指したいものです。