芸人先生2 #15 爆笑問題が、誉めて売り込むプレゼン講座

芸歴31年だそうです、時事ネタでも有名な爆笑問題さん。今回は、東京都板橋区成増に本社があるコイケヤさんへ。ポテトチップスが映ったので、カルビーさんかと思いましたが、より攻めてるイメージのあるコイケヤさんです。 創業は1953年、社員720人を抱えます。ライバルのカルビーさんを調べたら、1949年とありましたから、ほぼ同時期に誕生したようですね。

今回は、相手の心を動かすプレゼン術を学ぶようです。教室はいつもより人数多め…?貴重な機会ですもんね。芸人先生2「爆笑問題の“ちゃんと上手に褒めていますか?”講座」(2019年8月19日放送分)をお届けします。

商品の魅力を伝えたい

会場に入った爆笑問題さん、オーディエンスのコイケヤ社員に開口一番「なんかつぶれかけているという…」「そんなことない!一つもない!」といつもの掛け合いで笑わせます。「我々しくじった経験はない…」と他局のネタまで飛び出し、田中さんの「若林とかいないから」フォロー力が光ります。

社員の皆さんから、悩んでいることを聞いていきます。「商談で相手に響かない、テクニックとしてどうしたら伝わるのか」「話を長くしてしまいがち。(分かる、すでに分かる、と太田さん突っ込みあり)グダグダっと話してしまい、魅力を伝えきれない」「広報としてウェブのキャンペーン企画、メルマガ、ホームページ管理をしているが、商品の良さをアピールするのが下手」などなど。

ここで、田中さんのまとめ力が光ります。皆さんの共通のお悩みは、「自社の魅力をうまく伝えられない」ということですね、と。そこで田中さんの体験談を伝えます。ラジオ番組を持っていて、わりと自由に話せるので、映画や音楽の感想など伝えることがあるが、日常の出来事として何気なく話しているように見えて、「結果的にプレゼンになっている」ことです。また、太田さんは本の帯(に載せるコメント)をよく頼まれるそうです。「俺が帯を書くと売れるが、自分の本は売れない」のがお悩みだそうですが、好きなモノは伝えたくて夢中でしゃべっているから、と加えます。

で、自分はどうなの?

今回のテーマが出ました。「“ちゃんと上手に褒めていますか?”講座 」(ここで自ら拍手して盛り上げる田中さん、絶妙です)。

先ほどのお悩みを持つ社員さんの、商品のプレゼンの様子を撮ったVTRが紹介されます。出てきたキーワードは、品質と素材感… 低価格… 人口が減っている中で… 厚切りで野菜の味が濃い… 厚さが1.7倍… 。すかさず、「全然ダメだね」と突っ込む太田さん。特に、人口減少という部分は難しかったようです。

商談の文章をすべて書き起こし見てみましたが、何も入ってこないというのが聞き手の本音のようです。「商品のコンセプトが分からない」「おいしいって言葉が一回も入っていない。美味しさが伝わらない」という仲間からの指摘に、プレゼンをする姿そのものが「つまらなそうだった」というフィードバックを太田さんが加えました。

笑いは共感

で、自分はどうなの?」という核心に迫ります。プレゼンしている貴方はどう思っているの?という部分が伝わっていないということです。「うまい、食ってみ」と言うときは、売り込みたいのではなく共感したい、分かってほしい、という感じなので、その感覚を営業の時に入れるといいのでは、と田中さんはアドバイスします。太田さんも別の例で、女子高生がつまらなことでゲラゲラ笑うが、感動した事実は本当だから揺るがない、タピオカを飲んでカワイイと言っていた感動とおんなじ気持ちにさせることができればいい、と話します。お笑いで一番大事なのは、なんと共感してもらうこと。お客さんが引いていく時は、共感できない時。自分たちが面白いと思ったものでも、説明がうまくいかないと共感までたどり着けないことがあるそうです。

Image by Christopher Ross from Pixabay

深夜にネタを思いついてゲラゲラ笑うことがあるが、朝起きると何だそれ、と思うことがある。ただあの深夜のテンションで一緒に部屋にいた状況まで持っていけたならば、実はウケる。実際にはとても難しいが、そういうことが重要だと話します。

商品が喜ぶように褒めていますか?

相手が、ではなく商品が喜ぶように褒めてみよう、という提案です。愛着とは擬人化なので、ポテチは「カワイイ」「渋い」など、擬人化しての感情が何かあるはずです。亡くなった親戚も、棺から「笑っている」ような表情をしている、といいますものね。ゆるキャラもそういうところをついているのだそうです。

太田さんが好きなモノリストが登場します。ルパン三世、中山秀征、牧野ステテコ、湯豆腐、ナッツ、チョコレート、チャンジャ、しゃぶしゃぶ、ポテトチップスのり塩、サウナ、ポン酢、緑茶。これらが喜ぶように、太田さんが褒めます。

Image by Christopher Ross from Pixabay

例えば「湯豆腐」。昔ながらの町で売っていた豆腐屋の豆腐を、絹ごしでポン酢で食べる時に、「あー幸せだなー」と、温泉に入った時のような幸せを感じる。ポン酢が薄くなっていく時に、足さずに味がしないくらいまで続けると、湯豆腐の味が勝っていく。湯豆腐の何にも味がないのに食べるのが最高。(最終的に、薄いポン酢が好きなのか?みたいなプレゼンになってしまった、と笑いを取りました。)

次は「緑茶」。自然そのものを体に入れている感じで、気持ちイイ。美味しいを超越している。我々を生かしている葉緑素。光合成。みたいな感じがする。

「ポテチののり塩」。別格だからポテチじゃなくのり塩。他は駄菓子ですよ。のり塩は一つのジャンル。のり塩しかほしくない。のり塩さえうちにあれば幸せ、それくらい好き。のり塩が好きということすら言いたくないくらい。ゆるぎない、あれがなきゃ困る。人類が絶滅しても残る。「誰が作ってんだ、こえーよ!」(田中さん)

今よりも伝わるはず

ここで、ポテトチップのり塩を題材に、今一度社員にプレゼンに挑戦してもらいます。お一人目、「磯の香りが広がる。何も言わず食べてください。ふぁっふぁっと」。お二人目、「食べるとこんな体になっちゃう。それぐらい美味しいので、ぜひ」マイナス面を言っちゃうんだね、美味しさを言うときには関係ないからね、と爆笑問題からもお褒めの言葉が。落語の小話風でした。

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ここで専門家の意見が入ります。商品のプレゼンでは、心を伝えるのがとても大切、なぜなら人は理屈ではなく感情で動くからです。IEバランス(インフォメーションとエモーション)。ジャパネットたかたさんは通販業界でモノを売るのが上手。カメラを売るのに、性能だけでなく、子どもと一緒に撮る、思い出が残ると愛情を感じますよね、という言葉を残していくと爆発的に売れる。 この商品を買ったらどんな体験ができるか、具体的に想像できるようになるそうです。 画素数などのスペックではないのです。

爆笑問題をほめて売り込む

実践編はちょっと難しいです。爆笑問題のマネジャーとして、テレビ番組プロデューサーに売り込むことをします。太田さんが、プロデューサー役だそうです。

広報社員さんのチャレンジです。太田さんを朝のワイドショー番組に売り出したい。時流に乗ったネタが得意なコンビ。話題をつかむのが上手。コンプライアンスの時代だからだれも使わない。田中さんの的確な突込み。過激な発言でも、笑いに瞬時に変えていくので、笑いに溢れた番組になる。

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実践しての振り返りは、「自分が見たい番組は何か、と考えた。あと、喜んでもらうという意識はした」とのことです。採用!喜んでもらえたようです。

長いとダメ出しされた社員さんがチャレンジします。ドラマに太田さんを売り込みたい。3つメリットがある。認知度が高い。 2つ目は多様性。 ああ見えて本を読んだりしてるので、知識がありいろいろな役柄に対応できる。3つ目はギャップ。バラエティが多いのでドラマも見てみたい。

こちらも採用です。太田さんも、「いい気分になりました」というフィードバック。ぜひNHKに掛け合ってくれない?というコメントまで飛び出しました。

ここからまとめです。太田さん、「自己規制を取っ払ってもいい。はみ出す手前で止まらず、はみ出しちゃっても修正すればいい」そのくらい、推したいものは推しましょう、というメッセージでした。

やみくもに推すと主観的すぎると批判されることにもなりますが、笑いにおいては、自分という主語(軸)や、思い(熱量)が大切なことがよく分かりました。

受講生の感想です。「共感が大事」「いいと思った時の感情に連れていく」「商品への愛情を持ちながら提案するのが一番かと思った」。

次は最終回です!働くすべての人へ、爆笑問題が熱弁します。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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