芸人先生2 #11 友近の「こだわりを発信し続ける」講座

ピン芸人19年、姉御にもおっさんにもなる演技力と独自の発想で女王の風格を放つ友近さん。今回は若い女性向けのバッグや小物で絶大な人気を誇るあのサマンサタバサを訪問します。「友近先生、ファッションブランドで自己プレゼン術講座」の回(2019年6月24日放映分)をお届けします。

まず、サマンサタバサが日本生まれのブランドということが驚きです。今回知った方も多いのではないでしょうか。 てっきり外資系企業だと思っていましたが、ミランダ・カーさんを起用したのも上手でしたね。

http://www.samantha.co.jp/special/2016/mkf_st/img/hed.jpg

ここで余談ですが、ミランダ・カーさんはオーストラリア人で、カンタス航空のアンバサダーを務めていたことも初めて知りました。

(C) Qantas

友近さん、本社ショールームでプレスと名刺交換。ファッション業界では慣習的に広報のことをプレスと言っていますね。

教室に入場すると、すでに笑いが起きています。「藤原紀香です」と、定番の自己紹介から始まります。友近さんは 劇場やテレビで活躍し、メインの客層は30代後半から60代までとのこと。「紀香さん古いとか分からないという人もいるかもしれないけどよろしく」とフォローします。

平均年齢25歳という若いスタッフの活躍する会社です。さっそくお悩み相談。「より濃いファン層を作っていきたい」「初対面の方と会話の盛り上げ方が分からない」「入社3年目で上司に提案する機会があって緊張する。自分を奮い立たせたい」「いろいろ考えたいが時間を作るのが難しい。ネタ作りをする時間はどう作っているか」などが挙がりました。

観察力そして「アナタのやりたいこと」

友近さんの答えはこうです。「常にアンテナを立てている。人の観察が好きなので、自然に観察する」高校生時代、テニスコートの裏がニワトリ小屋だったのでよくニワトリの声物まねをしていて、「ニワトリか友近か分からない」と言われていたそうです。聞こえたものをその場でやるのが大切だった、とのこと。きっと親戚のおじさんや先生の物まねもうまかったんでしょうね。

友近さんは 「アナタのやりたいことは何ですか」と問います。友近さんの場合は、もともとお笑いをやりたいと思ったわけではないそうです。面白いと思うことを考えるのが好きで、テレビに出てる人を見て勝手に共感していたそうです。その延長で、「田舎でも面白いことを考えているということを知ってもらいたい」「ひらめいたアイデアを共感してもらい 」と思ったのがきっかけとのこと。

「プレゼンに共感してもらえるか、上司に理解してもらえるか」という問いに対しては、自分が伝えたいことの「原点に立ち返る!初心忘れるべからず!」というのが友近さんの答えのようです。

友近さんがネタを見てほしいと思った方々、太平サブロー・シローさん。シローさん(立ち位置は左)が物まね上手で、近しい人の真似をするのが自分のレパートリーと似ていたので「もしかしたら気に入ってもらえるかも」と思っていたそうです。

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もう一人お名前が挙がったのが、バッファロー吾郎さん(コンビ)。いろいろなジャンルのネタをするので、友近さんは「こんなに全ジャンルの物まねができる人と早く出会いたい」と思ったそうです。

(C) Yoshimoto Kogyo

共感できる仲間を探す力

次に、チームを統率する、同じ方向を向く、周りを巻き込むうえで大切なことは何かを話されます。吉本興業の場合は個性が大きいので、統率するのは大変なのだそう。そんな時、「同じニオイ(感覚)の人探し」をするそうです。同じ目標に向かっている人はすべてを話さなくてもニュアンスで通じるので、安心感を持って仕事ができる。そこで、友近さんは誰と仕事をするかを大事にしてきたそうです。

ある日バッファロー吾郎さんのラジオ番組に、レポーターとして出演した際、ここぞとばかりにバッファローさんが好きそうな物まね「難波金融伝 ミナミの帝王」をしたそうです。竹内力さん(主役)のドスを効かせた声でやるのかなと思わせておきながら、秘書役の竹井みどりさんのまねをした。(この時会場は元ネタが分からず、友近さん「ポッカーンという感じでしょ?」とフォローを入れます。)バッファローさんがなんじゃと思ってくれ、この一つのネタを見ただけで、バッファローさんの主宰するライブに出させてもらった、そこでバッファローさんも感覚に間違いがないと思ってくれたのだと確信したそうです。

最近は一人でできることに限界があると考え、ユニットコントをやっていこうとしている友近さん。バッファロー吾郎以外にロバート、ゆりやん、渡辺直美などとコラボして、幅を広げていかれたいそうです。

では、自分と同じ嗅覚の人をどうやって探せばいいのか?苦手なものの価値観が同じ人。お店に行って、「本日のメニューが答えられない店員はプロ意識がないな」と思ったとき、そんな所で同じ意見だと、アンテナが同じというヒントなのだそうです。

専門家はどう見るか。ニオイは測定できないものなので、スリーカット判定という、測定可能なものをカットしたうえで判断する方法です。お金カット、地位カット、有名カットすると真ん中に「価値観」が残るので、そこが一致した人を見つけると、仕事を広げる可能性があるそうです。

こだわりを発信し続ける

「私はこの考えなんだ」「やりたい」ということを軸に持っておくのがいい、という友近さん。バラエティ番組なら妥協もできるが、ネタだと変更を依頼されると「自分のネタにならない」ので、1年目からこだわってきたそうです。

ここは若い社員にとってはとてもよいメッセージですね。どう上の人のOKをもらえるか、の視点に立ってしまうと、お客様のためにならない。自分を信じる、自分の感覚を信じることは、特にファッションのように感性が生きるビジネスではとても大切だと思います。

こだわり抜くと、そういう人が寄ってきてくれる、それを証明したのが「謎の大物演歌歌手水谷千恵子で、50周年の初座長で明治座公演、これを面白がってくれる人がいて、仲間が増えたそうです。誰もやりづらい人がいない、 いい空気間で一つになれ、チームとして一体感が生まれた。そしてお客さんがよかったと言ってくれるので、それが自己満足ではなく答え合わせになるそうです。

話は逸れますが、水谷八重子さんという初代(母)、二代目(娘)ともに往年の女優さんがおられます。二代目八重子さんはご存命。そしてチーターで知られる演歌歌手の島倉千代子さん(2013年ご逝去)がおられますので、水谷八重子は現存の人物と思ってしまいそうな、よくできたキャラだと思います。

専門家からも一言。カラーバス効果、これは例えば「赤探して」と言われると赤を探すようになるので、集めやすくなる効果のことです。「これしたい!」と発信すると、あそこにあったと教えてもらったり、人を紹介してもらったりします。同志を見つけると、さらに実現に近づきますね。

友近流の締め

最後、「得られるものありましたか?」と会場に問い、うなずく受講者に「素直ですね」と承認の言葉を投げかけた友近さん。「現状維持が一番と言う人もいるが、自分はステップアップしていきたい、まさにキーポンシャイニング」(Keep On Shining)と笑いを取って終わります。

舞台裏で、友近さんは「真剣に聞いてくれた。何が役立つのか疑問だったが、皆さんしっかりしてますわ」と感心した様子です。一方で受講した社員のコメントは、「同じ匂いのする人を小学生から見つけていたのがスゴイ」「日々の業務に追われていたが、初心に帰れた」と、メッセージがきっちり伝わっていましたね。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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