芸人先生2 #7 コロッケのモノマネ式オリジナリティー発想術

大好きなコロッケさんが出るということで、無条件で保存版の回です。私にとって、志村けんさんとツートップの存在で、尊敬してやみません。なぜ好きかというと、常に先頭を切っていて、とにかく研究熱心でネタが進化しており、後進の育成にも熱心、「ここまでやればいい」という天井がない方だからです。芸歴39年目、来年で還暦のベテランでいらっしゃいます。

今回は東京台東区の大手おもちゃメーカーを訪問ということで、バンダイさんですね。戦隊モノ、たまごっち、プリキュア。キャラクターものが多く、世代を超えて愛されているものばかりです。

コロッケさん、今回の授業に当たっては、綿密な打ち合わせをされたそうです。「作る人が興味を持っていないと、広がりが何も見えない」と楽屋でコメントされていました。2019年5月20日放送分をお届けします。

「だってそう思ったから」が大切

コロッケさん、受講生の前に登場!顔おっきい!(ほめ言葉です)

開口のご挨拶です。「モノマネをやり始めて39年目、ここまで来られたのも、全部、人のヒット曲」。(会場一同笑い)

さっそく会場から質問を取ります。「バンダイはガンダムや戦隊ヒーロー、仮面ライダーのキャラクターイメージを持っている人が多い。ぜひオリジナル商品を立ち上げたいが、なかなか出てこない。オリジナル商品を生み出すもののきっかけや、着眼点は?」

コロッケさん曰く、オリジナリティを入れていくのに、一番大事な言葉「だってそう思ったんだもん」を発想に生かしていこう、と。映画『ジュラシック・パーク』に、耳の後ろを開いて毒を出した恐竜が、ちょっと森進一さんに見えたのだそうです。それで、パッカリ放射状に開くヅラを作ってしまった。しかし面白半分で開くヅラを作ったわけではなく、あくまで森さんと恐竜が結びついたから、なのだそうです。

これは、別の言葉で言うならば「毒」ですよね。少し混じっていることが、インパクトになっている。子どもの発想は時に残酷ですし、少しいじったり、おちょくったり、通り越して似ていなかったりという部分に、私たちは笑いを感じているはずです。 ものすごく似ているモノマネだと、面白くないと思うのです…。

Photo by rawpixel.com from Pexels

一番大切なのはいたずら心

小学校3年生くらいになって「怒られて逃げるいたずら心」を大切にしなさい、というメッセージ。この野郎!と思ったらもう逃げていないくらいの、いたずら。田原俊彦さんも、 岩崎宏美さんも、 本来いじってはいけない人をいじっている自覚は、コロッケさんお持ちです。田原さんや岩崎さんのファンやスタッフが怒っても、ファンじゃない人には喜ぶ人もいらした、そんな思いで続けたら、コロッケのオリジナルになったのだそうです。デフォルメして唯一無二、そんな境地を築いておられますね。

ビジネスの世界では、これはどんな現象と見るのでしょうか?既成概念を外してヒットしたものの代表が、黒い綿棒。 なぜ白じゃなきゃいけないの?という思いがなければ生まれなかった。斬新なアイデアから生まれた商品は、ヒットします。

次は、五木さんのロボットバージョンです。コロッケさん、『ロボコップ』という映画を観ている時に、「俺の中では五木さんが出てきた」と言うのです。そして、ロボコップの衣装でやっても誰だか分かってもらえないと思って、普通の格好でやった、という展開だそうです。VTRを見て「ひどいよね」「申し訳ございません」と、これも笑いに変えていますね。

Photo by Mike Navolta from Pexels

ここからすごいのが、五木ロボットが進化していることです。もう20年以上になり、ロボットは2回ほど変化を遂げたそうです。最初はCGがない時代なので、人がやっているロボット。一度目のバージョンアップでは重みを加え、腰や膝に重りが入ったイメージで、動くたびに一度軽く沈む。その次の改良では、ゆらぎが入る。そうすると見たことある!というロボットになっていく。今ロボットの第三革命が起きていて、ロボットが動く際、中心軸をずらさずに体重移動する形になっている。そうすると、回転するにも動きがこまめです。このように、終わりがない世界で「飽くなき探求心で進化し続ける」これが、コロッケさんにとって大切なことなのだそう。あー感動。

没ネタも決して無駄にしない

ここで、コロッケさんから社員さんへの質問です。「没になったネタは?」「カプセルトイの開発で、トイレのハンドドライヤーをミニチュアで作りたかった。営業に打診したが、シュールすぎると言われた」そうです。コロッケさん、ハンドドライヤーにはそんなに興味が湧かなかったようですが、これから先にとんでもないものに化けるかもしれない可能性はある、と。手を乾かしている間にバクテリアを退治してくれるなどの機能があれば、マジでーってなるでしょ、と。 花粉対策も過熱しているくらいなので、へー面白い、という発想がほしいところですね。

「女の子に将棋ブームを起こしたくて出した企画で、ジュエル将棋というのを考えた。宝石のコマを使って、ネーミングまで完璧」コロッケさんは「ダイヤの形のまま?」と質問。この企画者は、ダイヤの形のままで、「歩」などの文字をそこに乗せるか、乗せないかを考えたそうです。

七段 藤井聡太さん
https://www.shogi.or.jp/player/pro/307.html

コロッケさんのアイデアは違いました。「将棋の駒の形のまま宝石にする。将棋盤も宝石でキラキラ。大人と子どもが一緒に楽しめる商品展開。ほしいなと思わせるものであればいい」なるほど、宝石のままだと石ころや硬貨でやっても変わりませんよね。将棋ブームがこれまで来るとは誰も思わなかったのですから、もしかしたら、もう一歩練れば、あのジュエル将棋から名人が生まれたかもしれない… というところですが、 無駄になることは絶対にない、とコロッケさん言い切ります。これも名言ですね。

専門家も、別の例を出します。ロングセラーになっているカップヌードルは、味を変えてパッケージを変えてバージョンアップをしている。古いものを終わらせていない企業は、進化しているのだそうです。古いものがあったら、これが最新だと思うことでヒットになる可能性があるとのことです。「一周回って新しい」「流行は繰り返す」なんかもよく聞きます。アップデートし続ける、常に進化させる。普通の仕事でも、心がけたいことです。

アイデアを大切に!

さて、ここから実践講義です。家の中にある職場にもある、どこにでもある「ゴミ箱」 が題材になりました。ゴミ箱にいたずら心を加えて、こんなのがあったら面白いというゴミ箱を発表します。

Photo by Steve Johnson from Pexels
  • ゴミ箱ペット。ペットがゴミ箱になっていて、ゴミを入れると可愛い鳴き声がする。成長すると自分でごみを集めてくれる。
  • 捨てたものが、後日家に送られてくるゴミ箱。改めなければいけない気持ちになる。
  • 家に帰るとゴミが吐き出されているゴミ箱。否応なくゴミの日を覚えるようになる。
  • スケスケゴミ箱。 後ろの景色が投影され、景観を汚さないゴミ箱。

最後のゴミ箱に、「スケルトンが流行っているから、今年だったらアリかもね」とコメントを添えたコロッケさん。 いたずら心は歳をとっても大切、考えたことを無駄にしない、「だってそう思ったんだもん」の精神も今日学びました。おもちゃを作っている会社の皆さんですから、子ども心を忘れていないはず。楽しんでいたい、楽しみたい気持ちが、今楽しんでいただきたいに変わっている社員の皆さんですよね、ぜひ「アイデアを大切に!」との応援メッセージでした。

映画好きとしては大変うれしい引用もありました。ブロックバスター映画をさらにエンターテインメントにしてしまう、そんな意味でも芸術家だなと思います。

https://www.instagram.com/p/Bw4rX1-HbxQ/
https://www.instagram.com/p/Bw4rX1-HbxQ/

達筆ですね。こういう大人になりたい!

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

おすすめ