芸人先生2 #8 コロッケのモノマネタイトルには“言い過ぎない”ビジネスヒントがいっぱい!

「流行りをやろうという気持ちはない。興味を持っているかいないか」

何を言われても名言ですね。自分が興味を持てる対象への熱量を、相手に伝える。モノマネもそんなお仕事です。

今回も、おもちゃメーカーのバンダイさんが受講生。若手から中堅のラッキーな18名の皆さんです。「モノマネタイトルはビジネスヒントの宝庫」(2019年5月27日放映分)をお届けします。

聞き手のツカミ方

会場の前方で受講生に向き合い、「武田鉄矢でございます」。自己紹介のツカミOKです。

(C) 博多座

まずは受講生の皆さんから悩みを出していただきます。「カプセルトイの営業をしている。商談に行く時、流れのツカミが上手くできない。どういうふうにしたらいいか」「朝礼があって、担当がフリートークするのが2か月に一度回ってくる。どう話せばよいか分からない」コロッケさんはどう答えるでしょうか。

モノマネは、「~~やります、聴いてください」と言ってから、演じることが多いそうです。そして、それを2回、3回やると「またやってる」と思われるのが常だそう。コロッケさんが編み出したのは、先に興味を引くひと言を投げかけておくことです。「美川(憲一)さんって歌の途中でマイク舐めるじゃないですか。それでは聴いてください」こう投げかけると、登場するくるところから舐めるんじゃないか?いつ舐めるんだろう?と思ってしまいます。すぐ舐めたらいけないのだそうです。じらされて、気になります!

コロッケさんのメニューリストにある題目たちの一部です。

  • 虫を2匹つかまえるコブクロ
  • 壁にぶつかったティラノサウルス~~ぶつかった時に何事もなかったようにするのがポイント。
  • 歌の途中で友達を見つけた長渕さん

ネタ自体は「たったこれだけ」という小さなしぐさだったりするのですが、先に興味を引かせるのがポイント。モノマネの世界では、この投げかけがあった方がよいとのことです。

では、このようなタイトルはどうやって作るのでしょうか?

逆説的な言葉は興味をそそる!

これまた演目の一つで、「歌の途中で寝る中島美嘉」。もちろん、歌っているのに寝るわけないのですが、もしかしたら 「あるかも」、とう思わせたら、プレゼンは成功です。

プレゼンでも使えるとしたら、逆説的な言葉を使って遊ぶことなのだそう。商品をそのまま持っていくのではなく、「水の中では使えない」けれど「すごくいい」、こんな表現を交えます。違和感で興味を引くことを、「ないあるトーク」と言い、例えば「今日は営業しない営業トーク」をした場合「何の話なの?」と興味を引くことができます。

商店街のポスターで「ポスター? はよ作ってや。死ぬで」のコピーが、インパクト大だったのも、違和感が功を奏したのでしょう。

(C) 大阪商工会議所

伝えるためには伝えすぎるな

伝えようとして御託を並べすぎない、 説明しすぎない。 これは誰しも、分かっていながらついついやってしまうことなのではないでしょうか。

コロッケさんの答えはこうです。まず「興味を持たせる説明をする、画(え)を想像させる」ことを簡単に。その後に実践し、相手に楽しんでもらうという手法でやったら、仕事が増えたとのこと。先に投げかけることが、見ている方も楽しいというのが、分かったそうです。

ビジネスの現場でそれに近いのが、 日本でよくある丁寧な取扱説明書。これは読む気がしないのに対し、アップルの商品 などで説明書がないものがあります。説明書がないのにほとんどクレームがない、みんなで解説している。ということは、「解決するきっかけを与えている」とさえ言えます。不親切サービスの神髄なのですね。

実践 コロッケをプレゼンする!

講座の後半は実践です。お題は「コロッケ」さん。「こんなコロッケだったらいいのに」「~~なコロッケ」「もしもコロッケが~~したら」など、コロッケさんをプレゼンするのがです。受講生からこんな意見が出ました。

  • 「ドン・コロッケ」(ドン小西さんのノリで) 。コロッケさんは観察力がすごいので、辛口チェックができる。毎朝評論し続ける。
  • 「常に揚げたてのコロッケ」モノマネ歴が長いコロッケさんだが、常にアツアツ。よいほめ言葉ですね。「今日は何味?長渕味」だそうです(笑)
  • 「恋人になった時のコロッケさんを見てみたい」何だかくすぐったいですね。恋人になった時に、相手にちょっとしたいたずらをしたり、そんな仕草は愛情が詰まっていて大事なのだそうです。愛情があるかないかで変わる、というのはものまねに通じますね。やりすぎないギリギリのところで、面白さを取る。楽しみたいって言うのもある。

最後に、コロッケさんよりメッセージ。「皆さん、夢のある職場ですから、頑張っていただきたい。自分も、コロッケさん頑張ってるなと思ってもらえるよう、頑張る」

最後に、ファンに怒られた福山雅治ネタ、『家族になろうよ』を(ここでもちゃんと振ってます)。「100年たったら いないよね」(笑)おしまい。

番組が終わって、緊張が解けたというコロッケさん。「普段責任がないことをやっているので」今回のような講座は責任がある役割だなと感じられたそうです。しかしコロッケさんは、モノマネでは後輩の育成に勤しんでおられ、自らモノマネ界の未来を背負っておられるようにも見えます。

コロッケさんは「(お客様に)楽しんでいただきたいと思っているんですね。自分もそういう気持ちで作っています」と。はい、もちろん楽しんでおりますよ!

最後に。番組中盤、ベテラン社員さん紹介があります。全長14cmのダンゴムシをカプセルレスにしてヒット商品を生み出した方です。リアルさを追求し、結構グロテスクです。中高年男性に人気で、60万個を売り上げました。好き嫌いがはっきりする、これもマーケティングの極意です。また、日常の会話から「子どもはダンゴムシを集める時期がある」という声をよく聞いたそうです。身近な人の話にヒントが詰まっているんですね。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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