外国人受け入れと家族の問題
「外国人労働者受け入れ拡大」に関する議論が、世論を賑わせている。
5年前の2013年、在外高齢社会研究会の「在日外国人高齢者の将来を考えるフォーラム」に参加し、川崎市の施設「ふれあい館」を訪れた。当時は聞きなれない「外国とつながる人々」という言葉を聞いたのも、この時が初めてだった。外国とつながる人々は、日本に住む外国籍の方、親や祖父母が外国生まれで、本人は日本で生まれ育った方などを指す。日本生まれ=日本人、外国生まれ=外国人、ではないからだ。
館長のお話で驚きだったのは、戦後日本に留まる決断をした方の多くは、主義・主張からではなく、「家族がいたから」という理由だったことだ。つまり、結婚などで家を構え、子どもにはお友だちができて小学校を転校させたくない、というような私的な、つまり人間らしい理由で、母国に帰らない選択をしたことになる。暮らす、土地に根を下ろす、というのはこういうことなのだと、改めて実感する。
今回は、在留にあたり家族帯同が認められるかが、一つのポイントになっている。家族帯同を認めれば、子どもたちが残る確率が大きく、20~30年のスパンで人口構成も変わっていく。また、暮らすということは職場だけではなく、買い物をする、病気になる(病院に行く)、銀行口座を持つ、子どもが学校に給食袋を持っていく、と言ったような日常の場面に影響する。想像よりもたくさんの場面に影響することを、海外に学び、外国につながる先輩方に学び、そして草の根のつながりから社会として受け入れる環境を作っていきたい。