ライトタッチでも強固なキャラ設定、『海辺のポーリーヌ』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
本日は旧作、エリック・ロメール監督の『海辺のポーリーヌ』(1983)です。原題「Pauline à la plage」、フランス語学習でやっとla plage(海)を習ったばかり。
『海辺のポーリーヌ』へのひと言
ロメール監督といえば、恋愛がテーマです。
恋愛におけるキャラ設定の圧巻。
人にはもちろん複合的な要素がありますが、「あの人は遊び人」「あの娘は真面目すぎ」と形容するように、恋愛における行動もパターン化されるでしょう。
本作では、ポーリーヌ(アマンダ・ラングレ)というのはまだ15歳かそこらのお嬢ちゃんで、従姉妹に連れられて海辺の別荘でバカンスを過ごしています。その従姉妹がマリオン(アリエル・ドンバール)、名前からして派手ですが、ロマンチックで相手にも派手さを求めるタイプ。画家でプレイボーイのアンリに熱を上げてしまいます。そのマリオンに恋するのが生真面目なピエールで、マリオンの軽さに腹立たしさを覚えたりもします。ポーリーヌの前に現れたシルヴァンは、ボーイフレンドとしてうまく行くでしょうか?
観客は、マリオンのあけすけな感じに喜んで振り回されたり、アンリの口八丁さに呆れたり、ピエールに共感したり失望したりと、心が動きます。結局恋愛ですから、正解はないけれど、嗜好はある。自分はこういう人がいい、合わない、など。
そして多くの人が述べているように、本作で一番現実を見て、大人な対応をするのがポーリーヌ。年齢は関係ないんですね。もちろん社会経験は少ないけれども、人を見る目があるし、地に足ついている感じがあります。瑞々しい演技を引き出していました。
海辺の白!
夏の開放的な様子が分かるのが、随所に見られる白の色づかいです。もちろん別荘の壁の白色もあるけれど、コットンのドレスが、まるでシーツやカーテンのようになびいているのも印象的。男性のズボンも白が使われていて、下着が透けてしまう感じが目のやり場に困ります。そんな特徴を持った、純白なのです。
もし舞台がアメリカだったら、炭酸飲料が出てきて、ラジカセが出てきて、少し騒がしい感じになるでしょう。でも、フランスでは、一日に何度もビーチに足を運んだり、ヨットで沖に出たり、昼寝したりと、時間の流れもやさしいなと思います。デジタル漬けになった2020年代の私たちに、休暇はこうあるべき、と教えてくれる。
今日はこの辺で。