ジム・キャリーから幸せをもらう、『エターナル・サンシャイン』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

2005年にアカデミー賞脚本賞を受賞したことは知らなかったのですが、Bunkamuraル・シネマでの再上映で知った『エターナル・サンシャイン』(Eternal Sunshine of the Spotless Mind)。ジム・キャリーケイト・ウィンスレットが出ているなら、間違いなさそうです。そして、見てよかった映画でした。ミシェル・ゴンドリー監督(ミシェル=男性)です。

『エターナル・サンシャイン』へのひと言

本作は、人の脳内の記憶、そして記憶消去について取り上げたもの。誰だって、消したい過去はあります。そして、自分の元カノが、自分との記憶を消していると知ったら?

ジム・キャリーが本当に幸せそう。

脚本や編集の素晴らしさなど、言いたいことはたくさんあるものの、一つ光るものを挙げよと言われたらジム・キャリーの演技を選びます。

非常に複雑な構成の作品のため、過去と現在を行ったり来たりするのですが(『インセプション』並み)、『マルコヴィッチの穴』脚本のチャーリー・カウフマンが参加しているとのことで納得。

こちら作品スチールですが、心安らかに寝ているジョエル(ジム・キャリー)がいます。この顔をデフォルトにすると、これと真逆の状態のジョエルもいるからすごい。

そして恋から愛に変わる、つまり相手が好きな自分が好き、という自己愛から相手を信頼して丸ごと愛するホンモノの愛までが、よく描かれています。

ケイト・ウィンスレットが演じたクレメンタインも、自由奔放かつ不安定で好きですが、こういうエッジが効いたキャラクターは演じやすい。ですから、しがないサラリーマン的な主人公の方が難しく、ジム・キャリーの演技力が光っていました。そして、彼の心を通して恋愛っていいなと思える幸福感を、おすそ分けしてもらった感じです。私はジャンルとしてラブロマンスが好きなので、記憶除去の部分が多少ファンタジーだったとしても、ラブロマンスが圧倒的に勝つという、希少なラブロマンスに着地していた点が素晴らしかったです。

人の記憶に挑む

時空は現在・過去・未来と移動しますが、人の記憶を含めたらそれは無限になり、それが本作の面白いところです。

人の脳内記憶は消せるのか? 作品中には脳内記憶を消すサービスを提供するクリニックへ、消してほしい記憶を片手にクライアントが次々と訪れます。

今の脳科学、もしくは近未来の脳科学なら、ある程度可能かもしれません。どの領域が喜びや悲しみを司っているか、かなり明らかになっているからです。

しかし人間の脳内メモリも相当量あるので、主人公ジョエルの恋愛脳においても、他愛もない記憶から、普段の100倍キュンキュンする記憶までが混ざっています。氷の上に寝そべる思い出などはキュンキュン側ですが、日常の会話、ちょっとした言い争いも含めて観客の「あるある」共感を誘います。

この行ったり来たりの異次元感覚が、作品を少し複雑に、そして豊かなものにしています。脚本は渾身作と言っていいでしょう。

名脇役たち

本作では脇役となるイライジャ・ウッドキルステン・ダンストがいい味出しています。イライジャ・ウッドは小柄(今調べたら168cmでした)でモテない片思いの役、キルステン・ダンストは記憶消去クリニックの受付スタッフですがまさかの過去を抱えています。

お二人とも幼少期から活躍し芸歴は長く、イライジャは『ロード・オブ・ザ・リング』(2001〜)、キルステンは『スパイダーマン』(2002〜)で活躍していました。20代前半の出演作で、撮影スケジュールも過密だったと想像されますが、よい作品に当たったとも言えるでしょう。

最後にですが、本作は35ミリフィルムの上映でした。フィルムの時代は、フィルムを円状に巻いた状態にまとめたリールの交換があるのをご存知でしょうか。だいたい20分くらいに一度、右上に丸いマークが出ます。0.5秒くらいかと思いますが、映画を学ぶ学生やコアな映画ファンならよく見つけていたと思います。3つ見つけると1時間なので、時間の目安にもなりますね。

映画は技術と共に変化する芸術なので、こういった時代の流れも感じることができ、また今よりも技術の限界がある中で見せてくれた映像、特に脳内の記憶には、目を見張るものがあります。

今日はこの辺で。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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