試みとして面白い、『憐れみの3章』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
『憐れみの3章』を観に行きました。なぜって、ウィレム・デフォーが出ているから。ヨルゴス・ランティモス監督・脚本です。観て、大正解の映画でした。
映画制作は監督を中心にファミリー化することが多いですが、今後もヨルゴス・ランティモス監督作品にエマ・ストーンが見られるのだろうと想像します。
『憐れみの3章』へのひと言
刺激的な脚本を演じたら、役者冥利に尽きる。
これは頭がいい人が作った映画だし、批評家をうならせる類の作品だと思います。難解、中毒性あり。私は好きです。
テーマは何かと考えると、誰が何をすると言うあらすじからは語れず、結局は「抑圧と抵抗」とか「愛と喪失」とか「盲信と裏切り」とか、そういう抽象概念になってしまう。ですから、いくつかの評論にあったように、寓話の世界に近い。ディテールは異なってもそれぞれの時代で語られることになるでしょう。最後は、「人間の愚かさ」に行き着くのかもしれません。
構成と細部へのこだわり
さて、本作は8名のメインキャストが、3つの別々のストーリーに登場します。エマ・ストーンであれば、1話でリタ、2話でリズ、3話でエミリー、というように。マーガレット・クアリーは、3話目で双子を演じていて4役。アンディ・マクダウェルの娘さんだと知って、時代を感じました。残りの6名はジェシー・プレモンス、ウィレム・デフォー、ホン・チャウ、ジョー・アルウィン、ママドゥ・アティエ、ハンター・シェイファーです。カンヌ映画祭でジェシー・プレモンスが男優賞を受賞しましたが、やはりこの作品で一人あげるとしたら彼になるだろうという見解には納得です。
短編のコレクションはアントロジー(作品集)として紹介されますが、役者が共通しているところがポイント。この映画何に似てるかな、と考えました。AIが提案してきたのは、ウォシャウスキー兄弟監督(当時)とトム・ティクヴァ監督(『ラン・ローラ・ラン』)が発表した『クラウド アトラス』(2012)でした。トム・ハンクスとハル・ベリーが主演で、何世紀も輪廻転生を繰り返して生きるかのような主人公のストーリー。
『憐れみの3章』は現代劇なので時代をまたぐことはありませんが、演じているのはまったく別人ですから、たしかに似ているかもしれません。
ただ、申し訳ないのですが、『クラウド アトラス』の方が数倍予算をかけた作品であろうに、『憐れみの3章』の重厚感が格段に上ですね。
画面に映るすべてが細部までこだわっており、緻密な計算がされています。天候、建物、小道具、すべてに監督のスタンプが押してあるかのよう。エマ・ストーンの化粧も濃い!ヨルゴス・ランティモス監督は、スタンリー・キューブリック監督やラース・フォン・トリアー監督の作品陣とよく並ぶそうで、なるほど!私も大好きな監督たち。過去作品もチェック、だな。そしてこういう作品を持ってくる配給会社にも感謝❤️
今日はこの辺で。
映画公式サイト:https://www.searchlightpictures.jp/movies/kindsofkindness