カンフーの静かなる美しさ… 『イップ・マン完結』
ウイルス対策で一席空けて座る映画館、前方も見やすく実は快適だったりしますね。稼働率最大50%なのは申し訳ないのですが。
こんにちは、Junkoです。
私としたことが、7月はボー―ッとしていて、「ブルース・リー 4Kリマスター復活祭2020」の情報をまったくキャッチできていませんでした。
師ブルース・リーの生誕80年、没後47年ですから、彼は33歳でなくなったんですよね。本当に若くして旅立ちました。
そして師に失礼してしまったので、師の師である『イップ・マン』シリーズ完結編は、何が何でも劇場に行かなければ…!と、いわば墓参りのような気持ちで出かけました。
劇場には、筋金入りのファンと思われる方々も、足を運んでいました。
『イップ・マン 完結』は静かな作品
完結編ではイップ・マンの晩年を描いていますので、春夏秋冬で言えば冬の時期。
イップ・マンを演じるドニー・イェンは、「静」の魅力で溢れています。やはりブルース・リーはやんちゃで挑発的だったので、次男坊キャラ。イップ・マンは長男くんです(イメージ)。
ラストで、総集編的映像があるのでちょっと泣きそうになりますが、若々しいイップ・マンから晩年までを演じたドニー・イェン、素晴らしいです。
実際のイップ・マンを見ると、ドニー・イェンよりもさらに「静」の力が強いと言うか、悟っている感が漂います。
そして『イップ・マン 完結』は、ブルースが大会のため師をサンフランシスコに招くお話です。
『イップ・マン 完結』が描いた1960年代
この作品の中では、アメリカにおいて中国系移民への偏見がある時代を描いています。中国系移民もまた、自分たちの武術であるカンフーを白人に教えることを拒み、イップ・マンは反対にカンフーの世界への普及を説きます。
先日アマゾンプライムで「ブルース・リーの神話(字幕版)」を見たのですが、60~70年代はまだ東洋人と西洋人の対立があり、ブルース・リーは率先して新しい地に赴き開拓することで、差別や偏見と戦う、みたいな、彼自身と映画の主人公が重なるテーマがあった、という話でした。
人の往来も今とは格段に少ないですし、インターネットもない時代ですからね。たしかに私が小さい頃は外国人を目にすることも、外国へ行くことも、限られていました。だからこそ、黒髪のアジア人ヒーローは貴重でした。
肝心の『イップ・マン 完結』本編
ドニー・イェンの演技を見るのはいいのですが、ストーリーはちょっと茶番でした。当時のアメリカでは空手が流行っていて、カンフーは木の人形を使った古臭いもの、空手に劣るものとされていて、その汚名を挽回するのがイップ・マンほかカンフーの達人たちです。
そもそもブルース・リーもイップ・マンもそうですが、巨漢ではありません。筋肉質ですが、細マッチョと言うか、いわゆるプロレスラーのような体型とは違います。
プロレスラー体型の空手の名手たちが、カンフーの達人たちに挑戦してくるのですが、これってアメフトがラグビーにケンカ売ったり、テニスがバドミントンをバカにするような感じで、あまり意味のないこと… のように思いました。
それでですね、劇中でもカンフーは不利で、追い込まれてしまいます。どうしても、パワーの質がちがう感じ。カンフーがどう空手に勝つかと言うと、有利になった瞬間至近距離で連打するんですよね。この戦術は、もしかしたら日常生活でも役立つかもしれませんよ。
演者さんたちのしなやかな動きはとても美しく、ヌンチャクしてるのに瞬きしないブルース(チャン・クォックワン)なんか圧巻です。一方で、どうしても決めポーズではスローモーションになり、CGIっぽくなります。一方でブルース・リーの映画は、早回ししてるんじゃないかと思うほどの俊敏な動き、アナログゆえの人間のキネティックな魅力が、まさに映画(キネマ)にぴったりと見惚れます。映画はモーション・ピクチャー、活劇ですから、動いてなんぼ。大きな画面で見る価値は十分ありました。
「さよなら、イップマン」…というコピーとともに、シリーズが終わったと思いきや、2020年10月には『イップ・マン 宗師』が公開されるとか。反則感満載。
ブルースの師、イップ・マンの静けさにある強さが好きだ!