場所だけで、怖い『Cloud クラウド』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

黒沢清監督新作の、『Cloud クラウド』(2024)。先日『蛇の道』で怖い思いをしたばかりなのに、うっかりまた来てしまいました。

Cloud クラウド』へのひと言

倉庫、こわっ!

サスペンス映画には、もれなく倉庫が出てきます。『蛇の道』もそうだし、『レザボア・ドッグス』『ユージュアル・サスペクツ』なども。

何が怖いかって、倉庫は生活の場ではないからです。温かみもないし、人気(ひとけ)もない。そして、人気がないからこそ、物音がしたら響くし、人影が動いたらビビる。隠れるものが少ないから、銃撃戦は至難。古典的だけど、観客は見事にハマっちゃいます。

123分の作品ですが、半分過ぎたあたりから、「早く終わらないかな」と思うほどに怖かったです。

最後、ドリフターズで言うところの「志村、後ろ!」があるので、お楽しみに。

主人公のズレ

菅田将暉さんが演じる主人公(通称ルーテル)は、転売ヤー。安く叩いて買い、高く売る。まあ、商売のセンスがあると言っていいのかもしれません。

本作は、ルーテルに騙されたと感じた人たちの復讐劇ですね。命が狙われていますから、私ならチビってます!

ルーテルは、冷や汗も失禁も反省もなく、呑気すぎる。1ミリも焦らないところが、恐ろしくて呆れてしまいます。鈍感力高すぎ。

注目は、奥平大兼さんでした。ルーテルの別荘兼事務所兼倉庫で、アルバイトをする青年です。菅田将暉さんがちょうど30歳くらいなので、実年齢でも20歳前後の奥平大兼さんに、このバイトくん役がピッタリでした。いい味出してるんだわ。10歳の開きがあると、動きも肌ツヤもちがい、主役級のオーラを感じさせました。若さはいいね。

古川琴音さんは、悪女ファム・ファタール的な役です。いやいや、おかしいに決まってるでしょう、ルーテルが追われている場所に、ひょっこり出てくるなんて。怪しいと分かっていましたが、ルーテルと同じくらい感情移入できないキャラ設定でした。

ネットカフェ住人の岡山天音さんは、『13日の金曜日』ジェイソンみたいで怖い。工場社長の荒川良々さんは、目が笑ってなくて怖い。ルーテル先輩の窪田正孝さんは見るからに喫煙者らしい青ざめた唇で、怖い。とにかくみんな怖い。そんな映画でした。

今日はこの辺で。

映画公式サイト:https://cloud-movie.com

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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