ファッション映画ではなかった『ハウス・オブ・グッチ』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

アダム・ドライバーが出ているということだけで出かけてしまった、『ハウス・オブ・グッチ』(2021)。2022年1月14日公開したてです。グッチだからでしょうか、映画館も8割は女性客です。

リドリー・スコット監督(『ブレードランナー』)だというだけで見に行く価値があるのですが、159分にもかかわらず見入ってしまった面白さでした。そこで、知識ゼロでも楽しめるよう、作品紹介したいと思います。

『ハウス・オブ・グッチ』へのひと言

そう、知識ゼロで行くとこうなる、という典型かもしれませんが、ひと言です。

華やかなファッションの話、ではなく警察のお世話になる映画。

映画の冒頭に、”Based on a True Story”(事実に基づく物語)とあるように、これは1990年代に実際に起きたことを元にしています。そして、タイトルのハウスは一族という意味で、牛革商品で財を築いたグッチ家の栄枯衰退の様子を綴っています。

私は理由もなく、レディー・ガガが(『アリー スター誕生』のように)スターダムにのし上がる物語や、アン・ハサウェイ主演の『プラダを着た悪魔』や、ファッション界の重鎮アナ・ウィンターが出てくるような物語をイメージしていたのです。あ、アナ・ウィンターは実際出てきますけれども。ジャンルだと、ラブコメかヒューマンでしょうか。しかし『ハウス・オブ・グッチ』を観ているうちに、ああ、サスペンスだと。だからもっと男性に見てほしい映画。

警察のお世話になるとは、民事でしょうか、刑事でしょうか。ぜひ本作でご覧ください。

事実に基づく物語というのは、結構あるものなんですよね。裁判を起こした『エリン・ブロコビッチ』(2000)もそうだし、大島渚監督作品で人気の『愛のコリーダ』(1976)も、ある事件を元にしています。

価値あるキャスティング

レディー・ガガの生い立ちなど詳しいところは知りませんが、本作に合わせた主役の「芋っぽさ、安っぽさ、ずる賢さ、チンピラ感、したたかさ」、全てが素晴らしいです。日本の女優さんでは、こういう肉感的な人が少ないので、とても参考になります。

アダム・ドライバーのおぼっちゃまくんぶりも、最高。真っ直ぐで世間知らずなカレッジ・ボーイも、妻に振り回されるところも、夫婦の冷え切った関係も好演。お金持ちぽさのにじみ出る白のフィッシャーマンセーターが、似合います。リドリー・スコット監督は、同じく2021年映画『最後の決闘裁判』でもアダムを起用していますね。

そして、本作品で80歳を超えたアル・パチーノに出会えると思わなかったです。ご自身もイタリア系アメリカ人ですし、『ゴッドファーザー』のイメージとも重なって、イタリアの話に持ってこいですね。スーツや道楽や血筋系の話題がよく似合う。

ジャレッド・レトも、リドリー・スコットファミリーでしょうか。『ブレードランナー 2049』にも出演した彼は、今回アダムの従兄弟、才能なき不運なデザイナー役です。禿頭の中年を演じ、役重視でこのオファーを受けた感じがします。

アダムの父親役であるジェレミー・アイアンズは、過去の出演作を見ると、多くの良作には恵まれなかった俳優かもしれません。『ダイ・ハード3』(1995)の悪役イメージはうっすらありますが。

もう一人助演を上げるとしたら、サルマ・ハエック。呪術師でレディー・ガガのバディ役、二人でいる姿は一瞬『テルマ&ルイーズ』を彷彿させます。メキシコ出身の俳優さんで、代表作は『フリーダ』(2002)です。顔が、一瞬ウィノナ・ライダーに見えました。

今ならではの職種

最後に。エンドロールを見ていたら、「COVID TEST COORDINATOR」(新型コロナウイルス感染チェックコーディネーター)なる職種がありました。出演者とスタッフを感染から守る、そして安全に撮影を続けるための、とても大切な仕事ですね。

イタリアでのロケもありましたし、ご高齢の重鎮キャストがいます。戦後の物語なので、マスクはつけていません。

日本では『カメラを止めるな!リモート大作戦!』もあったように、何もできないから、できる範囲で何かしようという動きに、確実に変わっています。映画制作も、止めることなく続いてほしく、観ることで応援したいと思います。

今回の軍配はレディー・ガガに上がりますね。ガガが一人の人間のドロドロを演じきった『ハウス・オブ・グッチ』が好きだ!

公式サイト:https://house-of-gucci.jp/

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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