車ではなく人フォーカス、『フェラーリ』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

アダム・ドライバーペネロペ・クルスの共演とあらば、どんなに凡庸な作品でも観たいと思います。今回は『フェラーリ』(2023)、『フォードvsフェラーリ』で製作総指揮をされたマイケル・マン監督作品とのこと。

『フェラーリ』へのひと言

フェラーリという車ではなく、フェラーリさんの人生。

この作品には、「Enzo Ferrari: The Man and the Machine」という原作があるそう。つまり伝記です。

映画の予告を見ると、このフェラーリの一生を描いたもののように思うのですが、実際はほんの一部しか描いていません。そしてペネロペファンには気の毒ですが、本作でのペネロペは亡霊もしくは般若並みの形相です。可愛いところが回想シーンにしかありません。

この映画を見なければ知らなかった、フェラーリ社の経営状態や、夫妻がパートナー経営していたこと、テレビの普及とともにレースの報奨金が当てにできるようになったことなどが、すべて興味深かったです。

たまに主人公のエンツォ(アダム・ドライバー)がコンメンダトーレと呼ばれているので、ミドルネームか何かだと思っていたら、称号なのですね。コンメンダトーレ(Commendatore)は、イタリア語で「騎士」や「勲章受章者」で、この場合は「社長」みたいな感じで使っているそうです。

祭りの文化

『フォードvsフェラーリ』でもそうだったように、カーレースの映画といえば、やはり轟音は鑑賞時の期待の一部。

轟音と男性性は相性がよく、レーサーの競り勝つ様子、命を顧みず戦う姿が、描かれています。

ロードレース「ミッレミリア」のシーンがあるのですが、ここに、日本の祭りの雰囲気を感じました。1,000マイル(1,600km)のイタリアの公道を走るレース、レースカーを街頭で応援する観客もイベントの一部です。

誰も命を軽視してはいないものの、このような祭典のなかで、当事者はトランスに入り自分の命を顧みない状態。観客もまるで御柱祭(おんばしらさい)のように、それを見守る雰囲気ががありました。

劇中でレーサーだったアルフォンソ・デ・ポルターゴ氏は、28歳だったとのことです。

祭りというと数百年の伝統があるように考えがちですが、これが1950年代の話だから、面白いですね。

ミッレミリアは1957年にいったん中止となった以降、1977年から別の形で続いているようです。

優秀な技術者の多さ、デザインの繊細さ、細部へのこだわり。イタリアと日本は、似ているところがたくさんありますね。(愛情表現はちがう気がするけれど。)

今日はこの辺で。

https://www.ferrari-movie.jp

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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