言葉にならない思い、『CLOSE / クロース』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

『CLOSE / クロース』(2022)、観てきました。ルーカス・ドン監督、なんでも前評判が良すぎる作品でしたが、情報は限りなくゼロで臨みました。ベルギー映画、男の子2人の映画、カンヌでグランプリを獲得した、くらいでしょうか。

主人公は、レオ(エデン・ダンブリン)、そしてレミ(グスタフ・ドゥ・ワエル)、この2人です。

では早速、ひと言に行ってみましょう。

『CLOSE / クロース』へのひと言

言葉にならない思いを、背負って生きる。

映画に大切なのは、「共感」です。観客は自分の人生に重ねるところが、少なからずあるからです。

そんな中で、悲しい哉、幼い頃に友人との別れを経験した人は、意外に多いと言えるでしょう。一生消えない傷を背負った方々は、この世にたくさんいます。それに、12歳かそこらでは、感情を言語化することも難しい。

観客は、まるで自分が12歳になったかのように、大切な友人とはもう会えない思いを感じます。時は自分を癒すことがない、それも分かる。

制作ノートには、監督が「自身の経験を基に」とありました。

作品では思春期ゆえの瑞々しさ、フレッシュな姿も余すことなく見せてくれます。小っ恥ずかしさもあるし、強がりもある。もがいて成長する数年です。

あるようでなかった映画かもしれません。

花き栽培という職業

主人公レオの両親は、観賞用のお花を栽培しています。お花や植物を栽培する職業が「花き栽培」「花き農家」などと呼ばれているようですが、映画で観るのは新鮮でした。脚本を書く人が上手に実態を描けなければ、花き栽培をするファミリーを描くことは難しい。農作物と同じように、種まきをしたり、ブルドーザーで収穫したりと、時期に合わせて重労働が続きます。

ただ、花が画面に映ると癒されると言うか、花の持つ力に気持ちが和みます。「お花=女の子」ではないですが、お花畑で仕事を手伝っているレオの姿も可愛らしいものです。作品では、男性性を追求されるようなピア・プレッシャー(友だちの圧力)がありますが、根っこではレオのやさしいところが出ているように感じます。

一方でレミはクラリネットを吹いています。音楽も(どちらかと言えば)男子より女子に人気なところがありますが、レミには一切関係がないようです。レミの方が、そういった境界線を認識しない、ボーダーレスに生きているように見えました。

子役の演技

私はもともと子役の演技に期待していないのですが、演技経験はまったく関係ないんじゃないかと思うくらい、自然な2人を観ることができました。この2人が自然に太刀振るまわないと、観るに耐えない作品になってしまいますから、よい人材を見つけたと言えるでしょう。

レオ役はダンサーで本作で映画デビュー、レミ役は未経験でオーディションを勝ち抜いたようです。

1959年のトリュフォー監督『大人は判ってくれない』がこのジャンルの金字塔的存在とも思いますが、現代では是枝監督も子役を扱うことに長けておられると思います。

エデン・ダンブリン、グスタフ・ドゥ・ワエルの2人も、これからどんどん顔やからだが変わっていくとは思います。一生に一度のこの思春期を、監督に撮ってもらい作品に残せたことは、本当に幸せですね! 今後のルーカス・ドン監督の作品にも期待します。

公式サイト:https://closemovie.jp/

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Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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