1990年代当時の新宿が蘇る、『不夜城』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

今日は旧作の『不夜城』、リアルタイムでは見ていない1998年の作品です。主役の金城武さんが出ていたテレビドラマ『神様、もう少しだけ』のヒットと同時期ということですね。監督は李志毅(リー・チーガイ)、英題は「SLEEPLESS TOWN」です。

https://fod.fujitv.co.jp/title/4183/

いろいろインターナショナル感が漂い、作風はちがいますが岩井俊二監督の『スワロウテイル』でも似たような設定でしたね。

では、早速ひと言です。

『不夜城』へのひと言

新宿ロケのリアル。

本作は新宿・歌舞伎町を中心とする中国系マフィアの話なので、歌舞伎町でロケをしているんですが、結構すごいです。薬師丸ひろ子の『セーラー服と機関銃』ラストシーン並みのインパクトがありました。どうしても「今から20年前の映画だ」という前提で観るのですが、それにしてもよくこの人・人・人で撮ったな、と。映画とはいえ、世俗を写す上で価値があるんではないかと思いました。

地上と地下が両方出てくるあたり、比喩的にもすごくいいです。

鈴木清順監督を撮りたかった映画

李志毅監督は香港の監督さんなのですが、監督が絶対鈴木清順監督作品のファンで、ご高齢の清順監督を出したかったんだろうなぁというところ。しかも流れ者の話ですしね。

タランティーノ監督と同様、ハマっちゃった人という感じがします。

『東京流れ者』(1966)の強烈な映像美
https://mubi.com/films/tokyo-drifter

マフィアの親分的存在なので、いつも秘書に囁いて訳させるという、演技的にも支障のない役柄です。ワタシ的には、清順監督どハマりだったと思います。

あと二人、いい演技をしている役者がいるとしたら、一人目は椎名桔平さんです。正直この方も、当時トレンディ俳優的な扱いだったと思いますが、本作品の椎名さんは落武者っぽい!すごい風貌です。椎名さんのファンもそうでない人も、必見。

もう一人が、谷原章介さん。穏やかでニコニコしているタレントさんのイメージですが、意志が固く芯のぶれない男を演じていました。考えて見れば、椎名桔平、谷原章介、金城武とイケメン揃いを裏世界で描いたのは、監督や本人たちの遊び心か、冒険心だったのかもしれません。

マフィアの世界に生きる人たち、締切とか容赦なく短くて、そこは笑ってしまいました。ただ、中華系の名前が覚えにくくて、誰が誰かを追うのが意外と難しい。例えば椎名さんが演じるのは富春「フーチュン」です。そこがヒットにつながりにくかった一因かもしれません。

金城のロマンスは?

金城武さんは本作の主人公ですし、誰にも心を見せない一匹狼的な存在がよかったです。しかし、いい演技をしている役者に入れられなかったのは、どうしても棒読み感が残るからです。

髭とタバコは随分と似合っていました。タバコは1990年代はまだまだメジャーな「カッコイイ」小道具でしたね。

そしてヒロイン役は、山本未來さんでした。彼女は、体当たりの演技がよかった。ヌードも含めて、ご自分の殻を破るような作品になったと思います。未來さんが中国語ペラペラならもっと漂流感が出たのですが、そこまではできなかった。日本の俳優さんの壁でもありますね。

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Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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