話がよすぎて、有名・無名は関係ない『L.A.コンフィデンシャル』
新年おめでとうございます! 星読み☆映画ライターのJunkoです。
本日は旧作の『L.A.コンフィデンシャル』(1997)。犯罪小説で知られるジェイムズ・エルロイ原作、カーティス・ハンソン監督の作品です。
予算3500万ドルに対して、興行収入が1億2600ドルという、ヒットを飛ばしました。
『L.A.コンフィデンシャル』へのひと言
主人公がほぼ無名ながらのキャスティングが見事!
当時売れっ子だったケヴィン・スペイシーの他に、2人の刑事役がいます。それが、ラッセル・クロウと、ガイ・ピアース。
このポスターでも分かると思うのですが、ケヴィン・スペイシーがメインであるかのような配置ですね。
でも実際は、ラッセル・クロウとガイ・ピアースの二人が魅せてくれます。ケヴィン・スペイシーはいわば客寄せ的な役割もあり、キム・ベイシンガーという悪女もいましたが、メインはこの知られていないけれども演技のできる男たちなのです。
名誉のために言うと、ケヴィン・スペイシーももちろん存在感を発揮しています。素晴らしいのは、このキャラクター設定で、三者三様に立ち振る舞うさまです。役者たちがこのストーリーの面白さを最大限に引き出しています。ケヴィン・スペイシーは一匹狼的だが地位と名誉が大好き、ラッセル・クロウは仲間を裏切らず、女性を守りたい男気あるタイプ。ガイ・ピアースは真面目で賢く、密かに敵討もねらうタイプ。こういった、強さも弱さもある、そして死(殉職)とも隣り合わせの刑事たちが奮闘するのが、最高に見応えがあります。
キム・ベイシンガーの再発見
勝手に「再発見」してしまいましたが、劇中の彼女、なんと愛らしいことか!
今回は、有名女優に似た高級娼婦の斡旋サービスで、ヴェロニカ・レイク似を謳って商売していました。美しさはAランクだけれども、中身は田舎出身のピュアで一途な女性(いや、それも演技かも)、というギャップも男心を掴んで離しません。
私の記憶にあるキム・ベイシンガーは、ミッキー・ロークと共演した『ナイン・ハーフ』(1985)ですが、その前に『ネバーセイ・ネバーアゲイン』(1983)でボンドガールを務めています。これまで男性を飾り立てる美女であったことは、間違いありません。
『L.A.コンフィデンシャル』でアカデミー女優助演賞を受賞できたことは、ベイシンガーの俳優歴の中でも最高の評価と言えます。この作品への出演は、彼女にとって大きな意味を持っているでしょう。
ハリウッドに集中した時代
ジェイムズ・エルロイは、出生地であるL.A.を舞台にした四部作を執筆しています。
『ブラック・ダリア』(The Black Dahlia、1987)
*1947年にL.A.で若い女性が殺されるブラック・ダリア事件があった。映画『青い戦慄』(Blue Dahlia、1946)をもじってこう呼ばれたとされる。
『ビッグ・ノーウェア』(The Big Nowhere、1988)
『LAコンフィデンシャル』(L.A. Confidential、1990)
『ホワイト・ジャズ』(White Jazz、1992)
映画産業の地ですから、スターと権力が集まり、金、女、薬物も集中する。ですからそこには、事件が起きます。
ハリウッドを自伝的に扱った作品も多くありますが、エルロイは映画界出身者でもなく、ノスタルジーは一切ありません。以前見たものだと、『バビロン』に近いかなと感じました。
2024年も、ゆるりとご来訪いただけると嬉しいです。よろしくお願いいたします!