複雑なことをライトタッチで描く『バービー』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
今更ながら、『バービー』(2023)を観てきました。マーゴット・ロビーもライアン・ゴスリングも大好きですが、期待はゼロで。
では、さっそくひと言に行ってみましょう。
『バービー』へのひと言
悲哀や皮肉や啓発をコメディに込める賢さ。
最初に興味を持ったのは、この作品が「コメディ/ファンタジー」に分類されていたことです。世界中の女の子に憧れられた人形が、ファンタジーになるなら分かりますが、どうコメディになるのでしょう?
バービーが世に誕生した1950年代とはちがって、今は2020年代。金髪や青い目、スラリとした体型だけが「美しい」とされることはありません。まして、ハイヒールを履くことも選択となり、女性が鑑賞物のように扱われることはなくなりました。「自分らしく生きる」ことは、誰だって知っています。
そんな中、どうやって観客を味方につけていくか? 女性が活躍して輝く社会では、何が問題となりうるでしょうか。そこで語る男性の声が、今のリアルとなって響きます。
ライアン・ゴスリングの魅力炸裂
男性の声を代表するのがライアン・ゴスリングなのですが、男の悲哀を彼が演じるとまったく嫌味がありません。男のおバカさ、せつなさを100%体現していて、クスッと笑ってしまう。これが彼の持ち味です。この作品のコメディ感に貢献していること、間違いありません。
それが太鼓の昔から世の常だよね、と観客に思わせるような、男の見栄っ張り、女性のために自分を大きく見せたい、強くありたいという欲望。頼られたい、注目されないと寂しいという本音。
一方で、女性は女性の悩みがありました。「完璧って何?」です。何役こなしてる? 仕事も家庭も? 頑張りすぎてない? 出過ぎないリーダー? 太らず痩せすぎず? 自分のこと大切にできてる? すべて曖昧すぎる社会的要求。ここでもグッと、女性の心を掴みます。ここがとても上手なのですが、何せファンタジーなので、シリアス味は足りません。
なお、アジア系代表としてケンを演じたのはシム・リウでした。
憧れの壁なしハウス
こんなふうに、上手に男性の声、女性の声を吸い上げていく作品なのですが、一ついいなと思うのがバービーの暮らす街の設定です。
「こえだちゃんと木のおうち」世代としては、壁のない数々のお家にテンションが高まります。これが子どもの「おうち」感だからです。そして、シャワーを浴びるのもフェイク、牛乳を飲むのもフェイクなバービー。ここに人形らしさが残りますね。
そして映画の最後に、バービーがある決断をするのですが、それも人形の彼女ならではの判断。ここもコメディ感覚で、本気ともジョークとも取れるあたりが面白いです。
それなりに楽しめた作品でしたが、やはり「コメディ/ファンタジー」が残って、どっちつかずな感じが残りました。興行成績1位ということで、話題作だったことは間違いないですね。