クラスメート感覚で見る!『ナッシュビル』(1975)

クラスメート感覚で見る!『ナッシュビル』(1975)

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

巨匠ロバート・アルトマン監督の45年前の大作を、今さら… と思われるかもしれませんが、じっくり見ることができました。Amazonプライムキャンペーンで100円セールをしてくれたことがきっかけです。私、できるだけ2回は見るようにしています。

ナッシュビルはテネシー州の州都で、カントリーミュージックの中心地、南北戦争で北軍が勝利した地でもあります。どんな映画が撮れたのでしょうか。

『ナッシュビル』へのひと言

本作には、24名のスターが登場すると謳われています。なかなかないですね。日本で『64(ロクヨン)』(2016)というサスペンス映画がありましたが、あんな感じで「あの人も!この人も!」感があります。

アルトマンお家芸の群像劇が、クラスメート感覚!

もちろん1970年代のアメリカ俳優が何人も瞬時に分かるかと言ったら難しいのですが、観終わる頃には、きちんと20人くらい頭に入ってるのですよ。不思議なことに。

そしてアルトマン監督のことですから、伏線と言いましょうか、Aさんが出かけたダイナーでBさんと隣り合わせ、その仕事相手はCさんで、Dさんのマネージャーを務めていて、Dさんが緊急入院した先はAさんの妻が長期入院していて… のように、知らないもの同士がどこかで袖振り合うように展開します。

相関図を書くのがお好きな方には、悶絶レベル!

観客としては、一人ひとりの生活をなぞっていくのですが、自分もそこに加わった感覚になり、しかも24名が友人であり知人である感覚を得て、愛おしくなっていくのです。あ、Aさん頑張っているな、Bさんは地元で顔が効くな、Cさんは要求を呑まざるを得ないな、Dさんは精神的にも心配だけどちょっとワガママもあるよね、のように。その状況で頑張りもし、やさぐれもし、もがきながら進んでいく様を、応援したくなってしまうのです。それが、クラスメートの距離感というか、つるむ友だちでなくても、同じ場所と空間を過ごしたことで仲間意識を持てるし、基本的には好意を向けられる。そこがこの作品を、ハートフルなものに仕上げていると感じました。

主人公不在と言うレビューもあるのですが、私は最初にも最後にも登場するあの方かな〜、と思っています。

共感の生まれ方

この映画は2時間40分という、いわゆる2時間スタンダードからも外れているので、少し間伸びする感覚を持たれる方も多いと思います。

しかし敢えて言いたいことは、リアルタイムの時間が流れているからこそ、共感が生まれています。

スマホ脳になってしまった私たちは、1分おきにスマホ画面を見ているかもしれません。しかしコンサートのライブ演奏でバラードを聞く時には、4〜5分の曲を最初から最後までじっくり聴くでしょうし、そのシンガーと同じ場所で2時間なら2時間を共にしたことを、誇らしく思うはずです。そんな空気感が、『ナッシュビル』にはあります。

最後20分で、事件が起きるというのもスゴいことですが、サウンドトラック “It Don’t Worry Me” (心配には値しない)が効いています。誰が歌っているかにも、注目です。

アメリカ地域研究に最適

ここまでアメリカが詰まっていて恐れ入りました、と感じる作品でした。例えばこんなキーワードはいかがでしょうか。

選挙戦
カントリー ゴスペル
チアリーダー トワリング
ダイナー ウェイトレス
南部 キリスト教 白人と黒人
スターダム
イギリスの存在
ヒッピー
星条旗

まだまだあるとは思いますが、これらの要素が複合的に絡み合って、一つのものを作っているのは、まさにアルトマンの作品そのもの。ドキュメンタリーではないのに、アメリカらしさがてんこ盛りで、史学的価値があるとさえ感じました!

大好きと言うのが軽く聞こえてしまうくらい、尊敬している監督の『ナッシュビル』、最高です!