サスペンスの王道『ザ・ファーム 法律事務所』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
本日は旧作の『ザ・ファーム 法律事務所』(1993)です。シドニー・ポラック監督の代表作の一つで、トム・クルーズ、ジーン・ハックマンらが出演しています。
では早速ひと言へ進んで参りましょう。
『ザ・ファーム 法律事務所』へのひと言
全員怪しい。
特にジーン・ハックマンがもう怪しいこと極まりないです。そしてエド・ハリスも。経験値の高い俳優が若手トム・クルーズを支えていることは間違いありません。
「うまい話には裏がある」という感じで、誰を信頼したらいいのか、誰も信頼できないのか、トムと観客は同じ心理戦を繰り広げます。登場人物が比較的多く、それぞれに意図を持って動きます。そしてデジタル普及以前ですから、スマホがない、コンピュータがない、あぁぁ… 。トムは最後まで大丈夫だと分かっていても、ハラハラします。
クライマックスはオーケストラ音楽となりますが、もう弦楽器のキリキリがたまらない。私の大好きなサスペンスとは言え、2時間30分ありますので体力が必要です。通常の起承転結とちがい、起承転承転転結という感じでしょうか。
法の威力
映画の原作者であるジョン・グリシャムさんがすごい人で、元弁護士、そして南部にお住まいの方です。本作の舞台もテネシー州メンフィスなのですが、ゆっくりした空気、人のアクセント、なまず養殖、家族ぐるみの付き合いと地方都市感満載なところが、ハーバードのロースクールに代表される洗練された東部にはない居心地の悪さを示しています。ある弁護士事務所の秘書を演じたホリー・ハンターもジョージア州の生まれで、南部訛りがバッチリでした!
そんな中、主人公ミッチはなりたての弁護士、法にも詳しいし正義感もある、ひょんなことに首を突っ込んでしまい弁護士の資格どころか自分の命をも奪われる危険にさらされます。彼が正義を貫くことはできるのか、というのが話の中心になっています。
アメリカ人が法廷ドラマ好きで知られていますが、法の力を信じて戦うミッチが、やはりヒーローなのですね。頭が良くないと弁護士が務まりませんが、その頭の良さを活かせば難題にも立ち向かえる、というのがジョン・グリシャムの主人公には似合います。
本作の評価と興行成績
1993年当時は、トム・クルーズの新作くらいにしか考えていませんでしたし、アイドルを見る感じで本作を観たと思います。今観ると、よくできていますよね。
ただ、評論家の評価も、ファンの評価も10点中7点くらいでしょうか。それ以上高いことはないのです。それは、原作の力が大きいからかな、と思います。私のように文字を読むのが苦手だと、映画化はありがたいのですが、原作ファンからしたらあまり見応えを感じないかもしれません。
1993年の興行成績を見ると、『ザ・ファーム 法律事務所』は第3位。第1位が『ジュラシック・パーク』第2位が『逃亡者』でした(出典)。第2位と第3位を足した数字が第1位に近づくので、恐竜のお話は相当売れたということですね。
グリシャム氏のヒット作は、『ザ・ファーム 法律事務所』に続いて『ペリカン文書』『依頼人』と映画化されましたし、彼は2023年の今も新作を発表しています。こんな良作なサスペンスなら、もっと読みたい、観たいと思ってしまいます。