脱力ブリジット・フォンダの美しさ、『シングルス』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです! 先週はお休みしてしまい、失礼いたしました。

今日は旧作、1992年の『シングルス』です。一番有名なのはこの頃売れに売れていたマット・ディロンかと思いますが、彼の名前はトリとして7番目に出てきます。

そして改めて調べたところ、キャメロン・クロウ監督作品でした。『あの頃ペニー・レインと』(2000)『バニラ・スカイ』(2001)も手掛けている監督です。著作『初体験/リッジモント・ハイ』が1982年に映画化され、脚本を務めているので、青春ジャンルがお得意なのかもしれません。

『シングル』へのひと言

ブリジット・フォンダの解脱。

本作はいわゆる大作ではありません。どちらかというと、普通の青春映画で群像劇。7人の独身男女がいるのですが、主役を張るのがブリジット・フォンダです。

さて、ブリジット・フォンダって聞いたことあるようなないような、という感じですが、あのフォンダファミリー、芸能一家に生まれています。私が分かるのは、父親のピーター・フォンダ(『イージー・ライダー』)くらいですが、祖父も俳優ヘンリー・フォンダ、『怒りの葡萄』(1940)は映画の教科書に必ず出てきます。おばのジェーン・フォンダは2度のアカデミー賞主演女優賞受賞者。

『シングルス』では、独身者たちが結婚相手に選ぶならこんな人がいい、そのために自分はこうならなきゃ、いやいや仕事も楽しくてこちらを優先したい、という個々人の思いが出てきます。特にブリジットが演じるジャネットは、相手の関心を引くために自分の見た目を変えようとする。

これ、やってしまいがちですよね。相手の注意を引くために、髪型や服装を変える。でも自分が無理をしていては、長続きしません。「〜〜しないと愛されない」は条件付きだからです。

そして、ジャネットはその間違いに気づき、軌道修正していくことで、人生が好転していきます。これがブリジット・フォンダの生き方にも重なるんではなかろうか、というのが今回の深読みです。芸能一家に生まれて、芸能でない生き方を選択する、それが彼女本来の居心地がよい場所だったのかもしれません。ブリジット・フォンダが2001年の作品を最後に、映画にキャスティングされていないことを加味すると、ジャネットの姿に重なったりもするのです。力んだブリジットよりも、リラックスモードのブリジットが、一番素敵なのです。

独特なヤング・アダルト期

思春期(18歳まで)を扱った映画もあれば、ヤング・アダルト期(18歳〜20代前半、本作では23歳)を扱った映画もあります。ヤング・アダルト期は大学生だったり社会人になりたてだったりして、親元から離れたり、恋愛に自由になったり、仕事に夢を抱いたり絶望したり、結婚がちらついたりします。こういった人生の段階は、SNSがなかった時代も変わりません。

本作では、ブリジット・フォンダとマット・ディロンのペアに加えて、キーラ・セジウィックとキャンベル・スコットのペア、そしてシーラ・ケリー、ジム・トゥルー、ビル・プルマンの日常を描きます。ブリジット・フォンダとマット・ディロンがくっついたり離れたりもありますが、キーラ・セジウィックとキャンベル・スコットの2人はすごくリアルでいいです。仕事や恋愛に対して等身大の悩みがあるし、小さなことから大きなことまで乗り越えていく感じがいい。

こうやって、青春映画ジャンルでありながら、人間の心理や、人生におけるお悩みを扱ったような、奥深い面も垣間見れます。キャストも、この年齢でこの作品に出られたことに、感謝しているのではないかと思います。

Amazon Prime: 『シングルス

同時期の青春映画、『リアリティ・バイツ』評もよかったらどうぞ。

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Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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