エンタメの原点に立ち返る、『RRR』

エンタメの原点に立ち返る、『RRR』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

この映画なんで流行っているんだろう、という単純な疑問をきっかけに、足を運んだ3時間大作、『RRR』。例えばマーベルのような会社が制作しているとか、日本のファイナルファンタジーのようなゲームと関係しているとか、いろいろ仮説はありましたが、インド映画がメジャーな映画館で長く上映されるのは、比較的珍しいものです。

これを書く前に、記事「インド映画『RRR』が全米ヒット 人気の理由は「やり過ぎ」?」(出典)に目を通し、なるほどインドの英雄2人がもし同時期に生きていたら、というストーリーであることを理解。これ、色々な国でできますね。

『RRR』へのひと言

映画に、分かりやすさを求める演出。

すみません、映画が好きになってくると、どうしても玄人好みという作品を見たくなったり、難解で演出が特異なもの、人生の裏の裏を描いたようなものなどを、好んで見るようになります。ワタシ調べですけれども。

しかし、映画はエンタメだ!という原点に立ち返れるような作品なのです。

ハリウッド映画は、13歳に向けて作られると聞いたことがあります。つまり、中学生が見て分かる内容にすることで、大衆が喜ぶというわけです。ボリウッド映画についても、ここは共通しています。

今回それを思ったのが、冒頭、ある集落に住む歌のうまい少女が、イギリス軍に連れ去られるシーン。連れ去られる時には、呆然とする、恐怖におののく、大声を上げるなどのリアクションも考えられると思うのですが、この少女は1秒目から号泣しています。そして母親も、同じく1秒目から号泣。こちらの感情がついていかないほどに、分かりやすい演技をします。

その後も悪い奴はずっと分かりやすく悪い奴ですし、いい奴はずっといい奴ですが、一番面白いのは主人公のラーマが善と悪を少し行き来することでしょうか。ぜひお楽しみにして下さい。

お茶の間テレビの感覚

私の経験を話しますと、アジアの映画史を勉強した学生時代、インド映画についても学び、ボリウッド映画についてもいくつか見ていました。インド人の方々と映画を見る機会もあり、休憩が入るほど長いことや、ミュージカル仕立てになっていることや、会場で踊り出す子どもたちがいるほどに家族イベントであることも、経験しています。

今回は日本の劇場で、3時間の映画を見たわけですが、休憩(インターミッション)という画面はスルーでした。そして日本の映画館では、おしゃべりも厳禁なわけですが、これは話したり声を出したりしながら見た方が絶対楽しい映画です。そして、トイレ休憩も取りつつ、というか好きな時に行ってもいいですし。既視感のある長いドラマを、家族で見る、その意味で、なんとなく年末の「忠臣蔵」に近い感じがしました。

もう一つ面白かったのは、最後のエンドロールで、キャストやスタッフの名前が出るのですが、画面の右6分の1くらいで段組された名前がスクロールされ、残りの画面ではキャストが歌って踊っているところです。これも、最後まで観客を飽きさせない工夫であり、テレビ的でもあります。

映画だと、ついつい「スタッフへのリスペクトを…」なんて気持ちも沸くのですが、「とにかく最後まで見てって!楽しんで!」という気持ちが伝わる演出です。

鞭打ちの刑でミュージカル?

ボリウッド映画の要素でミュージカルというのがありましたが、『RRR』により強いのは、アクション要素です。グラフィック処理されている部分もありながら、キネティック(動的)、つまり体操選手の動きを愛でるような楽しさがあります。

アクションということは、もちろん傷ついたり痛みを伴ったりするわけですが、ビームという主人公が鞭打ちの刑になるシーンがあります。見せしめのための公開処刑なので、イエス・キリストのように両手両足を拘束され、という残酷なシーン。ここで、歌うんですよ!

あまりにインパクトが大きく、このシーンだけでももう一度観たいところなのですが、もしあまり気にならなかったよ?という場合は作品に没入している証拠なので、ご安心を。私は、公開処刑の場面でも歌うインド映画を観たのは、初めてでした。

ここでも多様性尊重

本作はインドのローカルが、大英帝国の侵略に勝つ!みたいな感じですが、その間にも恋愛感情が生じたりして、可愛らしいシーンもたくさんあります。その中で、異文化トレーニングには鉄板の、インド人の首を横に(ぐらぐらと)振る動き。これはよく混乱を招きますが、Yesの意味です。

そして、ダンス対決もありますね。詳細はお楽しみにしますが、雰囲気としては多様性が受け入れられている感じがしました。私の世代は、英米文化が世界のトップを走っていたので、日本は「劣っている」「真似する」という感覚になりがちです。『RRR』は侵略を悪と描きつつも、自文化中心主義ではなく、人と人との交流や、どちらの文化もゆるく楽しんでいる感じが、2020年代のアレンジで微笑ましかったです。

もちろん、学問としてこの映画を深読みすることはでき、インドの歴史、文化、そしてなぜ今かを、紐解いていくのも面白いでしょう。今回はそれ以上に、エンタメとして完成度が高く、日本の高尚な映画館においても、観客が「やっば」「インド映画すげーな」と漏らすような傑作が、純粋に楽しめました。女性ならラーマとビーム、彼氏にするならどっち、とかもいけます。

ぜひパブリックビューイングでも観たいものです。

映画公式サイト https://rrr-movie.jp/

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