三人だから面白い、『Winny』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

Amazonプライムで観られるようになって、拝見した『Winny』(2023)。松本優作監督作品です。

『Winny』 へのひと言

俳優の三つ巴。

東出昌大さんが、主人公の金子勇さんを演じています。

吹越満さんが、名物弁護士。

吉岡秀隆さんが、警官かつ内部告発者。

私が知っている俳優さんは主にこのキープレイヤーでしたが、弁護士さんたちは三浦貴大さん(檀弁護士)、皆川猿時さん、和田正人さん、池田大さんが務めました。

東出さんという被告人と、三浦さんという弁護団であれば、二項対立で語られたこの事件ですが、そこに愛媛県警の裏金事件というのが絡んできます。ですから、二項対立を三項対立にしたところが、作品に深みを生んでいます。

https://twitter.com/jmcao1991/status/1777894941513203890

脚本上、別々の事件を組み合わせたのかもしれませんが、この絡み方が惹かれるものでした。そして、自然に被告と内部告発者に、感情移入していきました。

そして、東出昌大さんはやっぱりいい俳優さんです。

失われた30年らしき時の刻み方

日本が世界と大きく出遅れた平成の30年間。本作によれば、金子さんのような知識と感性を以てすれば、プログラミングで世の中に大きく貢献できる人生が待っていたのに、ということです。

コンピュータに詳しい人と、まったく分からない人では、大人と子どもほどのギャップがあります。さらに、金子さんの創作したアプリが世の中に浸透したからこそ、本来機密情報であるべきものが世にさらされる、著作権が保護されないまま無料でエンドユーザーに届いてしまう、ということも起きてしまいます。

事実、一審の判決では被告に150万円が課せられますが、正直裁判をしている状況ではタダ同然の安い金額です。結果論ではありますが、そこで払って終わらせることもできたんじゃないかというコメントには、私も同感でした。「そう言う見方もあるんですね」と着地する方法です。

しかし法のプロが、無罪の人を有罪にするわけにはいかない。一審を控訴し、数年にわたる裁判が続きます。その間、金子さんの才能は活用の場を持ちません

ドキュメンタリーでもある

私は史実を知らなかったので、金子さんがすでに故人であることを知りませんでした。しかし、残っている映像などから、彼のキャラクターそのものが大きな証拠になると思えました。

言わば、プログラミングにどハマりしている人であり、他のことには無頓着なほどにのめり込んでいます。作品では、彼のキャラクター自体を裁判に活かそうとした判事陣の工夫がありましたが、その判断は秀逸だったと思います。

また、愛媛県警の警官のことも、事実に基づいていると聞いて驚きました。日常のニュースに埋もれて、強く意識しないまま時が経っていたように思います。

事実は小説よりも奇なり。ですから、映画から現実を知ることもありがたいことです。

映画公式サイト:https://winny-movie.com/

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

おすすめ