隙なきゲイの美意識!『エゴイスト』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
鈴木亮平さんと宮沢氷魚さんが出演ということで、観てきました。『エゴイスト』(2023)、松永大司監督作品です。
高山真さんの「エゴイスト」が原作とのことですが、未読です。自伝的小説とのことで、出版社の編集を務めていらした高山さんですので、その役を鈴木亮平さんが演じたことになりますね。
『エゴイスト』へのひと言
今回はキャスト別にお話しすることで、整理していきたいと思います。
鈴木亮平さんが体現する、ゲイの美意識。
私にはゲイのお友だちもいるなかで、彼らにはこんな共通点があるのではないかと思います。
- 飛び抜けておしゃれ。
- セルフケアからインテリアまでストイックに作り込むのが自然。
- 自己への関心が高く、ナルシストな一面も。
- 人の気持ちを汲み取る能力に長けている。
鈴木亮平さん演じる浩輔は、誰から見てもスキのないハイブランドのおしゃれさんだし、眉毛から爪先まで完璧なまでに整えています。話し方は穏やかで、仲間とはおねえ言葉も自然に飛び出し、家ではコーヒーの淹れ方にもこだわりがある。360度ゲイを見事に演じておられました。例えば、スーツに糸屑がついているとか、鼻毛が出ているとか、体が弛んできたとか、ありえない。
私たちは、ハリウッド映画に出てくる日本人役がイマイチだと感じて、がっかりすることがあります。今回、ゲイ当事者からのそういったクレームはほとんど皆無ではないでしょうか(個人的な好みはあるにせよ)。
その前提で、1対1の関係性を強く望む人もいれば、複数の人と関係を持つことを望む人もいます。鈴木亮平さん演じる浩輔は、一途な前者ですね。その前のめりなやさしさも、丁寧に演じています。
もちろん、ヘテロセクシュアルの観客が見たら、びっくりする描写もあるかもしれませんし、ヌードシーンは長めとも思います。その中で鈴木さんが見せる相手への気遣いや眼差しは、男女関係なく、自分の恋人がこんなふうに想いを寄せてくれたらいいなぁと思うレベルです。言葉にも嘘がない、そう感じます。
そして、タイトルにもある「エゴイスト」ですが、はじめはよく分かりません。中盤過ぎたあたりから、あぁこれがエゴの部分か、と分かっていく感じなのですが、強烈さ、ピュアさに人間の本質が感じ取れます。
少し間違うと、IKKOさんのような面白おかしい身振りや話し方だけが残ってしまい、軽々しい印象を残してしまう。それを、浩輔という人として見せたところが、鈴木亮平さんの怪物的演技でした。
宮沢氷魚さんの軽さともろさ
宮沢氷魚さんは1994年生まれということもあり、実年齢でも鈴木亮平さんより10歳ほど若いです。宮沢さんのよかった点は、龍太役で若さと軽さを体現したところ。
背がヒョロっと高く、色白で、一部のゲイに人気がありそうな風貌。それに加えて、性をお金に換えている割り切りもあり、経済的にも安定している浩輔と比べると、もろさがあります。
見ている観客としても、一途な浩輔を簡単に裏切ってしまうのではないか、龍太の美貌をもってすれば、大金すらも彼を留めておくのに1ミリも役に立たない、という不安でいっぱいになります。どこかドリフト感もあり、このつかみどころのなさが絶妙です。
そんな宮沢さんも、中盤以降物語の急展開がありますので、私もついていくのに大変でした。
阿川佐和子さんは色が強すぎた
宮沢さんが助演ということですが、さらに龍太の母親を演じたのが、阿川佐和子さんです。
私の中では、どうも阿川佐和子さんのキャスター、タレント、司会者としての印象が強すぎて、何をやっても阿川さんに見えてしまった。ここがキャスティング的には残念でした。
龍太の母親ですと、50代から60代前半でも良かった気がします(阿川さんは現在69歳)。石田ゆり子さん、原田知世さん、宮崎美子さんなど、少しおっとりした雰囲気の人。
とても重要な役だけに、そんなことを思いました。
主役の鈴木亮平さんにうまく絡んでいることには間違いありません。ゲイムービーだと気軽に観に行った方を含め、本作は鑑賞後に少しちがう印象を残しているのではないかな、と思います。
映画公式サイト:https://egoist-movie.com/
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