タイトルから内容が想像できない!『チャイナタウン』

こんにちは、星読み☆ライターのJunkoです!

たまには旧作を、ということで、こ今回はAmazonプライムで見た、ロマン・ポランスキー監督の『チャイナタウン』(1974)。ジャック・ニコルソンフェイ・ダナウェイという、当時ノリに乗った俳優が共演しています。

では早速、ひと言です。

チャイナタウン』へのひと言

中華街と全然関係ない!

全く関係ない、は少し大げさでして、多少は関係あります。ただ、1970年代でチャイナタウンというタイトルの映画であれば、中国語や漢字による何らかのアウェイ感がある、と想像するもの。

刑事のようなスーツ姿のジャック・ニコルソンが出るとしたら、中華街のマフィアの悪事を暴く!みたいに想像しますよね。

中国やアジアをルーツとした、片言の英語を話すお手伝いさんは数名出てきますが、物語の中心は白人社会で展開します。しかし、繰り返しますがチャイナタウンとの関連はほんの一部。

私の脳内には、『上海から来た女』(1948)がありました。こちらはオーソン・ウェルズ監督・主演で、よく映画の教科書にも登場します。

この作品は、中国(上海)=未知のもの、として捉えているので、主人公の不安や、女の謎に包まれた感じが、外国や外国語で表現されている。1948年という時代背景を考えれば、納得です。

後述しますが、この映画はもっとアメリカらしいのです。

アメリカの正義

本作の素晴らしきは、脚本。こちらは、ロバート・タウンが担当します。『チャイナタウン』が「2回観ないと分からない映画」だったのは、私だけではないでしょう。

サスペンスとして大変優れているのですが、『チャイナタウン』で扱うのは、アメリカの不正や不倫などのスキャンダル。中国や中華街は無関係、というのはその意味です。50年近く経って見直しても、人間の根本的な部分は変わらないなと思います。

当時アメリカではウォーターゲート事件がありましたし、隠蔽や賄賂などに市民が闘う、正義は勝つ的な雰囲気がありました。本作での正義は誰(何)だったのか、が見ものです。

時代を作ってきた俳優

今回観て、今も存命の役者さんを映画で見るのはいいなぁ、と感じました。と言うのも、フランスでは2021年にジャン=ポール・ベルモンドが亡くなったり、今年にはジャン=リュック・ゴダール(監督)が亡くなったりと、何回も観た映画の作り手や役者が一人ずつ旅立っていくからです。

ジャック・ニコルソンは、『イージーライダー』(1969)『ファイブ・イージー・ピーセス』(1970)『カッコーの巣の上で』(1975)などに出演しており、アメリカン・ニューウェイブ(先のフランスでのヌーベルバーグを受け継いだ、既存の映画への挑戦。ベトナム戦争と並行した世の中で、人の鬱屈した心を描き、ハッピーエンドを否定した)という潮流になくてはならない人です。全体的に刹那的になりますが、この暗さとニコルソンがよく合ったのだと思います。

大学生のおぼっちゃまくんを演じていた

『チャイナタウン』をご覧になった方は、ニコルソンの姉と聞かされていた人が実母だったという事実も興味深いと思われるでしょう(出典:Rolling Stone, 1984)。

そしてスターのニコルソンの鼻に怪我をさせ(ポランスキー監督が演じるチンピラによって)、映画の後半はこの主役の鼻に大きなガーゼが当てられいるのも、スゴいです…。商品である顔が3分の1くらい見えないんですから。

そしてフェイ・ダナウェイと言えば、『俺たちに明日はない』(1967)ですね。私、この映画100回観たと思います。『チャイナタウン』との共通点も、すぐお分かりでしょう。この役を当初はジェーン・フォンダが演じる想定だったそうですが、フェイ・ダナウェイのちょっと寂しそうな感じや、芯が強そうでいて流されてしまう感じが、よく合っていたと思います。

この主演2人が観られることでの幸せいっぱいな、『チャイナタウン』でした。

ポランスキー監督は今も映画を撮り続けているので、こちらもご参考まで。

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Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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