主人公がアネットではない、『アネット』(2021)
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
初日に行くことができました、レオス・カラックス監督新作の『アネット』(2021)。初日(平日)の初回で、30数人は入っていたでしょうか。おりしも映画サービスデーで、1200円で見ることができたのでラッキーです。
この映画のコピーは、「愛が、たぎる。」なのですが、私なりに一行コメントをしてみたいと思います。
『アネット』へのひと言
アネットが誰か、がポイント。
ね、変なひと言です。アネットは女性の名前、くらいは感覚的に分かると思うのですが、映画のポスターで見ていた女性ではなかったのです。
この映画の主人公は、アネットではないのですが、であれば誰でしょうか?
はい、このくらいにしておきましょう。これは、見る人が考えることになるので。
それでは、映画のその他の見どころについても書いておきます。
自然なミュージカル
ミュージカル映画には慣れているものの、「このシーンもミュージカルにしちゃうのか!」と驚かされること数々。最初から最後まで、歌とともに、演者と観客とともにある感じが好きです。
カラックス監督の独創性には最大限敬意を払った上で、私が「これに近いな」と思った作品が、『ラ・ラ・ランド』(2016)と『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)でした。
『ラ・ラ・ランド』はハリウッドを舞台にしたミュージカルだし、主人公エマ・ストーンと、今回のマリオン・コティヤールが見た目近いのでは、と。
そして『ダンサー・イン・ザ・ダーク』もミュージカルで、外国人監督によるアメリカを舞台にした作品であること。『アネット』のポスターにある黄色いコートの女性(アンです)、顔の蒼白さがビョークそのもの!
以前、外国人監督によるアメリカを描いた作品について記事にしたのですが、今回の『アネット』も加えたいですね。アメリカのショービジネス、スタンダップコメディ、よく描かれていると思います。
二人とも十分売れっ子。しかしオペラとスタンダップコメディに表現されている格差婚的要素は、箱入り娘をヤンキーがかっさらっていった感じ。だからこそ、燃え上がったのかもしれません。
まさかの三角関係
こちら、冒頭のシーンなのですが、この時点で最前列の3人が、三角関係だと分かります。
しかも、女性の左側にいるサイモン・ヘルバーグがベン・スティラー、もしくはライアン・ゴスリングタイプ。小柄で、自信がなくストレスを抱えた二番手という感じ。ちょっとここは、ステレオタイプな配役の感じがしました。
私の中では、「三角関係」はフランス映画の本領発揮だと言えるのですが、しかもこの三角関係はキツいです。こちらもどうか、本編でご覧になって下さい。
2時間20分、そう言えばオペラは長かった…
途中で腕時計を見たら、あと1時間というタイミングで、トイレとの戦いでもありました。最近は『ドライブ・マイ・カー』も3時間あるくらいなので、余裕だと思っていましたが。
オペラを扱った映画でもあるので、起承転結全部やると、2時間では終わらないのですね。
映画魂で、ワンシーンでも見逃せないので、エンドクレジットまで頑張りました。そして、その価値があったというか、エンドクレジットにも見るべきシーンがありました。
カラックス監督はカメオ出演以上に出ていらっしゃいますが、ナスティア・ゴルベワ・カラックスは娘さんのようですね。現在17歳の女優、『ホーリー・モーターズ』(2012)にも出演していたようです。
あれ、アネットに似てない?
なんか、カラックスのファミリー感もあれば、「カラックス組」のファミリー感もあって、全てが夢な感じも、素敵なシーンでした。
というわけで、140分堪能いたしました。一つ一つのシーンにお金をかけて撮ったこと(けれどもそれを感じさせない)がよく分かりますし、サウンドトラックもいいです。カラックス監督、ありがとう!
「愛が、たぎる。」の表現通り、愛が溢れていました。男女の恋愛、家族愛。そこにクライム混ぜてくるのがカラックス監督ぽい。ただし、オープンエンディングではなく、アメリカ映画的な決着で、終わっていたのも事実です。
総合芸術として完成されている『アネット』が、大好きだ!
映画公式サイト:https://annette-film.com/