大人になってから見た、『レオン』のせつなさ
外出を控える人も増えているご時世、AmazonプライムやNetflixがお手頃な「時間つぶし」になりつつあります。
『レオン』は1994年のリュック・ベッソン作品。ジャン・レノとナタリー・ポートマンが出演する、殺し屋の物語です。当時見た私は20代前半。デビュー作となるナタリー・ポートマン可愛いな、ミルクを紙袋に入れてくれるなんてオシャレだな、とかジャン・レノがイタリア系に見えないな、とか思ったり、ゲーリー・オールドマンの狂人ハマりっぷりに震えていました。
そこから四半世紀が経ちました。作品と出合うタイミングについてはよく言われることですが、『レオン』も最近見直してよかったなぁと思える映画でした。
それも、当たり前なのですが、殺し屋レオンの年齢より自分が大人になったからです。レオンは40歳くらいですかね、マチルダは自称18歳ですが、実際は12歳。レオンがマチルダの言動にとまどう各シーンは、オーバーに見えたりもしますが、お互いの心のすき間を埋めるパートナーになっていく様子が何とも言えません。映画ではそんなに大柄には見えないジャン・レノが187cmと言いますから、ナタリー・ポートマンも当時かなり背が高かったのかもしれないですね。
映画の役者をジェスチャー的に当てるゲームをする二人が可愛いのです。マチルダはマドンナを真似て “Like a Virgin”を歌い、その後マリリン・モンローのウィスパー・ボイスを真似し、チャップリンのように小刻みに歩いてみせますが、レオンは見事に不正解。『雨に唄えば』でやっと正解します。
レオンもゲームを出題する方をやらされる羽目になり、西部劇のヒーローを演じますが、正解はイーストウッドではなく…。マチルダはハリウッド古典への知識をもとに精いっぱい「背伸び」をし、レオンは古い映画を見るのが好きとは言え、文化的生活をしてこなかったことがよく分かる、可愛らしい世代間ギャップ。
大よそ30歳の年の差があると思われるのですが、今の自分がいきなり知らない男子中学生とご縁があったら?と思いますもんね。もちろん親のような感情もありますが、相手が自分を師と仰いだり、まっすぐな感情でぶつかってきたら?
ロリコン映画と言う人もいるのですが、むしろ相手へ好意を抱くことで、お互いに自分の知らなかった感情を耕すような、素敵なストーリーです。臆せずに言うなら、愛についての映画だからです。
作品はもちろん見ごたえがあり、銃撃のシーンはカメラの視野もぐっと狭くなるので、迫力があります。スクリーンの面白さを超えて、今回はぐっとレオンに感情移入することで、ミッドライフの物悲しさを満喫してしまいました!