エデルマン調査に見る世界のいま
毎年、エデルマンというPR会社の「エデルマン・トラストバロメーター」結果が発表されます。2019年、グローバルの発表は1月20日、日本の発表は2月26日でした。
2000年に始まった本調査のきっかけは、1999年シアトルでのWTO会議に向けた市民によるプロテスト(抗議運動)だったそうです。「Battle of Seattle」(シアトルの戦い)と言われるほどに、世界経済に対して意見するNGOの力が台頭してきたことの象徴でした。トラストバロメーターという名のとおり、「信頼」がテーマになっており、政府、企業、NGO、メディアの4つがどれだけ「信頼」されているかを測定します。
各年の結果が端的に表れている年表がこちら。今年は、「企業への信頼」が急上昇したことが特徴として挙げられました。世の中は信じられるモノ・コトが少ないから、身近な人を信じよう、という流れのようです。
今回は、グローバルで2つの結果を興味深く見ました。
一つは、アメリカとメディアの関係です。
こちらの図、上部が民主党員、下部が共和党員です。民主党員はメディアへの信頼が高く、共和党員は低い。逆に、民主党員からの信頼が低いのが「政府」、共和党員からの信頼が高いのが「企業」と言った具合です。
端的に今のアメリカを現していますね。
もう一つは、世界的に「信頼できる情報を探している」状態とのこと。
グラフの左が「サーチ」(インターネット)、中央が「トラディショナル・メディア 」(新聞やテレビなど)、右が「ソーシャル・メディア」です。 日本は、このグラフで言うとAPACMEA(アジア太平洋・中東・アフリカ)に入りますね。 囲みにあるように、北米とヨーロッパではソーシャル・メディアへの信頼が低いことを示しています。これは、Facebookが米国大統領選に使われたことも影響しているでしょう。
おまけの3つ目ですが、女性の方が男性よりも「政府」「企業」「NGO」「メディア」すべての信頼度が男性よりも低いと出ています。一番スコアに開きがあるのが「企業」でした。やはり男性は企業戦士なのですね。
まだまだ結果が気になるところですが、インフォグラフィックのようにパラパラと見ても楽しく、定点観測的にチェックしていきたい、それこそ「信頼」しているスコアです。
また、今回の記事中では扱いませんでしたが、エデルマン調査は知識層と一般層を分けているのが特徴的です。知識層は「25歳から64歳で、学歴が大卒以上、世帯収入が各国の同世代と比較して上位25%以内、少なくとも週に数回はビジネスや公共政策に関するニュースを見たり読んだりしているか、そうした情報に関心を持っている層」と定義されています。いわゆる「インテリ」とそれ以外の層の考え方の違いが現れるのも、興味深いところです。