ケア・パッケージは心を送ること
沖縄出身で、現在米国暮らしの友人が、Facebookで「care package」(ケア・パッケージ)としてお披露目していた食品の数々。
「わわらかてびち」や「なかみ汁」など、郷土色豊かですね!
ケア・パッケージとは、「親類や友人に、ささやかなプレゼントや季節のものを詰めて送る小包など」( ALC英辞郎 )とありました。
英語の辞書で王道のメリアム・ウェブスター(Merriam-Webster)では、「便利なものや楽しめるものを詰めて渡す贈り物(例えば学生へ)」と定義しています。
私も留学していたので、こういう物資の有難さがよく分かります。
母から、ミカン箱を小ぶりにしたサイズで税関をクリアした箱が、半年に一度くらい届いていました。具体的に何が入っていたか覚えていないのですが、母の記憶では、レトルトが今のようになく、カップラーメンや、きんぴらごぼうや煮豆などお惣菜の缶詰中心。水に浮かして作るきなこ餅も入れていたそう。
母はパッキングの天才なので、箱の中は一切無駄なスペースがなく、フタ代わりとして一番上には さきイカやスルメなど、かさばらないものが詰められていました。
たくさんの愛情を送ってもらっていたことに、改めて感謝。
考えてみればお中元やお歳暮も、誕生日プレゼントも、お相手のことを思って送るものです。多くの場合、一つの品を、お店やECサイトで注文して、送ってもらったり。
一方このケア・パッケージは、高価なものでなくても、詰めるところから相手のことを考えて、ワクワクしながら作る。
相手のことをよく知らないと作れないのです。
遠い地にいる家族や友人と、インターネット電話やSkypeで話すのも、メッセンジャーでつながっているのも、素敵なこと。
でも、遠くから届いた小包や、食べ物の一つ一つ、手紙、そういったものには叶わない。そう思うことがあります。
ここからはおまけで、「母の愛」にまつわる友人のエピソード。
西海岸に嫁いだ娘に会いに、飛行機旅をした50歳前後のお母さん。ハンドバッグには、タッパーに入ったきんぴらごぼう。
2011年よりも前の話なので、手荷物検査は現在よりも厳しくなかったはず。また、もしかしたらアイスノンも入れていたかもしれないが、基本、移動中は常温でもつと思って、そうしたのでしょう。
しかし案の定、セキュリティで引っかかる。
「これは何だ?」と聞かれたお母さん。
えっと… ごぼう…
「ルート!ルート!」
とにかく長いモノであることをジェスチャーしますが、通じません。
ごぼうは burdock(バードック)と言うそうです。ただ、アメリカで食べる習慣はありません。「ルート(根)」ってなんだ?
不審物ではないことを示すために、タッパーを開けて食べてみせようとしたところ、検査官も呆れ顔で、
「OK、OK」と行かせてくれたそうです。
母の愛を考えたら、没収されないで本当によかった。
きんぴらごぼうは、静岡から太平洋を越えて、無事娘の胃袋に収まりました。(完)