改めて感じる、ミスドのブランディング力
今キャンペーンやっちゃダメ!
4月24日、ミスタードーナツが原田治さんのイラスト入りエコバッグを出したことを知り、その2日後に私も急を要す外出をしました(大げさ)。店頭にポスターも何も貼っていなかったので、いやな予感がしましたが、店員さんに声をかけると「売り切れちゃったんです…」との答え、とぼとぼ帰ってきました。
原田治さん
原田治さんと言えば、OSAMU GOODSのポップな画風で知られるイラストレーターです。私が中学生の1985年頃、写真にあるバックが大流行、学生鞄と一緒に持つサブバッグとしてこれを持つのが憧れでした。
同時に、OSAMU GOODSはミスドという印象もあります。ミスドのウェブサイトによると、オリジナルグッズにOSAMU GOODSが起用されたのは1984年からとのこと(サイトはこちら)。そう、当時ミスドはドーナツを買うと200円ごとに1枚スクラッチカードをくれ、10点集まるとお皿や小物と交換、というキャンペーンをよくやっていました。
点数を貯める方式から、今回のキャンペーンのように買い取る方式に変更となったようですが、考えてみたら「ムック本」と同じです。出版業界の救世主となっている豪華付録付きの雑誌がありますが、ミスドはこれをドーナツとともにやっていたんだな!
だから、OSAMU GOODSほしさに、ドーナツを買うのです。
江口寿史さん
そして江口寿史さん。『パパリンコ物語』グッズの登場は1986年からで(サイトはこちら)、OSAMU GOODSもパパリンコもあったという贅沢な年だったようです。
イラストでは、吉川晃司さんのような白いスーツを着る男性と、鈴木保奈美さんのような無垢とあざとさを持ち合わせた女性… 時代を感じます。
江口先生の描く女の子は、男目線でもう反則的に可愛く、私に1ミリもない要素で構成されているため、脱帽。
江口先生の最近のツイートにあったイラストを見ると、『ヘアリボンの少女』などで知られるロイ・リキテンスタイン のテイストでしょうか。設定はアメリカンではないのに、やっぱりアメリカンな空気感があります。
ペーター佐藤さん
そしてさらなるアメリカンは、オリジナルグッズではなくドーナツを入れるボックスやペーパーバッグに登場していた、ペーター佐藤さんのイラスト。アメリカの典型的な白人男女、子どもを写実的に描いて、大変人気でした。
たしかに普通の人々を描き続けたノーマン・ロックウェルの系譜ですね。
ペーターさんは1994年、50歳を目前に亡くなられたのですが、イラストはこちらで見ていただけます。
アメリカンとドーナツと私
1970~80年代はハリウッド映画も全盛、キャデラックにローラースケートにポニーテール、マクドナルドやミスタードーナツはアメリカ!という感じがありました。ハードロックカフェやシズラーが手に届く少し前かと思います。私は、「エルヴィス・プレスリーはドーナツの食べ過ぎで亡くなった」と教えられ育ちました。
中学の英語の授業で、アメリカ人の先生が “What did you eat for breakfast?” (朝ご飯何食べた?)と聞くので、いつわりなくその日の朝食べたミスド “Donuts.” と答えたら、“Donuts?” とマジ驚かれました。え、アメリカ人て、朝ドーナツ食べないの??
そんな中、この巨匠アーティスト3人が強烈に醸し出した(古き良き)アメリカ感は、ダスキンというお掃除のイメージがある日本の会社の事業にありながら、ミスドの先見の明とブランディング力を、よく物語っているのです。これらのコラボはあっぱれ。
ミスドは飲茶に走って私を驚かせたことも、食品添加物問題で私をがっかりさせたことも、コンビニでドーナツが売られ始め、私を心配させたこともありました。そしてアラフィフの今、ドーナツはあまり食べません。しかし近くにミスドがあると安心し、私の中でその土地の価値が上がる、そんなお店です。
そしてもう一度。原田治さんのエコバッグを、買わせてー!