無垢のローラ・ダーンが好き!『ブルー・ベルベット』(1986)

無垢のローラ・ダーンが好き!『ブルー・ベルベット』(1986)

2020年、ローラ・ダーンは『マリッジ・ストーリ―』のアカデミー助演女優賞を受賞しました。そのことで、瞬間的に彼女の記事は増えました。英国アカデミー賞(British Academy Film Awards)でのスピーチは素晴らしく、“I love movies.”(私は映画が大好き)で締めくくるのがローラ流。ご両親が俳優で自身もその道に進んだだからです。

アカデミー賞受賞よりも前の2019年4月、VOGUEではローラ・ダーンに注目し、ロングインタビュー「ローラ・ダーン、再評価の中で語る「真実」。」 をしていました。とてもおススメなのですが、冒頭から「コッポラ家に並ぶ、ハリウッドの名家に生まれて。」とあるように、彼女のセレブぶりがよく分かります。

ローラ・ダーンと言えば、『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』(2017)という人もいるかもしれませんが、多くの人は『ジュラシック・パーク』(1993)を想像するかと思います。学者役のローラに、正直「え!」と思いました。なぜなら、金髪(で頭がよくない)美人を多用するデヴィッド・リンチ監督の『ブルー・ベルベット』(1986)に出ていたからです。

(C) Blue Velvet

私の初見は1990年前半ですが、まぁクレイジーな映画。ハリウッド映画の基準からすると、ある種不快な映画と言うか、独立系、単館系、ミニシアター系と言うか。カイル・マクラクランのファンということで見たのですが、当時『イレイザー・ヘッド』や『エレファント・マン』で注目されていたリンチ監督に、イザベラ・ロッセリーニ、デニス・ホッパーなど、錚々たる顔ぶれ。そこにローラ・ダーンが加わったことは、素晴らしいキャスティングなのです。

今見ると、1980年代アメリカってこんなんだったな、という平和の象徴もたくさんあり、カイル(役名はジェフリー)とローラ(役名はサンディ)のデートシーンもほのぼのします。青や赤の原色を多用した作品で、ローラのピンクやパステルカラーに癒されること。ややファッションチェック的になってしまいますが、この映画でのローラの存在感を味わってください。

町の警部を父に持つサンディ。大切にされ育ったのが分かる写真。

(C) Blue Velvet

ジェフリーがアメ車(オープンカー)で大学までお迎えに。ザ・アメリカですね。

(C) Blue Velvet

その後ダイナー(食堂兼カフェ)でコーラを飲みながら、お話。ジェフリーはパイも食べています。

(C) Blue Velvet

デートを重ねる二人。サンディはスカイブルーだったり、白だったり。

(C) Blue Velvet

(C) Blue Velvet

1回だけ、スポーティなサンディも登場します。ポニーテールが可愛い。

(C) Blue Velvet

作品のクライマックスに向かって、ジェフリーがサンディをお迎えに行きます。この時もピンクのカーディガン。

(C) Blue Velvet

そこである事件が起こり、ジェフリーの軽率な行動にサンディは泣き、崩壊してしまいます。この崩壊っぷりが、ピュアで真っすぐでせつない。ローラ・ダーンの演技の真骨頂です。まずその場で泣く。

(C) Blue Velvet

2回目は、電話越しに泣く。

(C) Blue Velvet

もちろん二人の結末はハッピーエンディングなのですが、このローラの泣き方、意図的にキャプチャしたかのようにズタズタですよね。石川美千花さんにも、「輪ゴムの口」って名付けられてました(出典)。

だから、“学者”になったローラに驚いた、というわけです。

『ジュラシック・パーク』の前に、『ワイルド・アット・ハート』という作品で主演をかざるローラですが、こちらは先ほどの金髪(で頭がよくない)美人を演じていたと思うので、割愛。共演相手がニコラス・ケイジという点は特筆すべきでしょうか。

美千花さんが書かれたように、ローラ・ダーンの魅力は役の幅が広いことです。その中で、この可憐なお嬢様サンディ役は、作品の中のけがれのないお花のようで、何とも愛らしいのです。