観客も分からないゆえに怖い、『LAMB/ラム』
トップ画像:https://www.facebook.com/LambMovie/
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
今静かに話題になっている、『LAMB/ラム』(2021)。今回も事前情報ほとんどなしで、劇場に出かけました。
では、早速のひと言です。
『ラム』へのひと言
後出しジャンケンがうまい作品。
本作品はどうやらホラージャンルに属するらしいのですが、暗闇から「ワッ!」とフレームインするだけがホラーじゃないんですよね。
じんわり怖い、という意味ではちょっとミステリーみたいになっているのです。でもポイントは、情報の出し方を工夫して、分からなさを持続させている点です。
少なくとも3つくらいのシーンでは、そのシーンだけでは情報が埋められず、なんで?と思いながら見進める観客がいます。そして時間差で「あぁそうだったのか」と合点する。その繰り返しです。
実際に後出しジャンケンの比喩はイマイチかもしれませんが、観客として完敗感がありますよね。
そして解釈は一つではないであろうところも、また面白いのです。
暗い画面と静けさの意味するもの
もちろんホラーとして暗い、シーンとしている、というのはあるのかもしれません。が、本作品はむしろ自然の状態での暗さや静けさがあります。
北極に近いことで、夏と冬の日照がかなり異なるはずなので、就寝時間でも明るかったり。それでいて、日中はどんよりな天気です。部屋の壁がスカイブルーに塗られていますが、実際はこんな青空は見られないのかもしれません。
そして風が吹いたら、何も遮るものがありませんから、ビュービュー音がして怖いでしょうね。あそこにご夫婦2人で住んでいたら、どんなことでも協力してやらないと難しいです。自然が相手なので。
あと、羊って静かなんでしょうか。ものすごく鳴く印象はありませんし、あんな大自然で生きていたら、声すらも飲み込まれてしまうから。
話によると、羊は警戒心が強い動物のようで、そういえば私も目で威嚇されたことがありました。ほとんど鳴かないとしても、いろいろ考えている頭のよさもありそうで、この作品にピッタリ。
マリア様が羊を抱く姿を、引用しておきましょう。
非英語圏映画
登場人物はヨーロッパ系の人たちなのですが、英語もしくはそれなりに分かる言語が一切聞こえないのも気持ちよかったです。
製作国のアイスランドは、英国からグググッと北極に近づいたような位置にあり、人口は35万人とのことです(出典)。私にとっては歌手ビョークの故郷でしょうか。本作品も、エンドロールで「ビョーク」という名前を目にしたり、英語圏にないような文字や名前をたくさん拝見して、嬉しくなりました。
そう言えばエンドロールでもタル・ベーラ監督(ハンガリー)のお名前を拝見しましたが、ヴァルディミール・ヨハンソン監督はタル・ベーラ監督に師事したようですね。この時もガス・ヴァン・サント監督、アピチャッポン・ウィーラセタクン監督など、錚々たるインディペンデント系の監督が教鞭をとったようで、ヨハンソン監督の今後も期待できること間違いありません!
どうしようか迷っている人なら、行った方がいいと声を大にして言います!