新幹線の安定感ったら!『ブレット・トレイン』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
ブラピへのリスペクトを込めて、足を運びました。9月1日に公開したデヴィッド・リーチ監督の『ブレット・トレイン』(2022)です。
ツッコミどころがいっぱいあるので、ファンの鑑賞後トークが止まらぬ作品ですが、さっそくひと言つぶやいてみます。
『ブレット・トレイン』へのひと言
日本でロケしていないんですけれど、私が言いたかったのはこれ。
新幹線で撮影したかのように、驚くほどスムーズ。
そう、本作は東京から京都へと向かう新幹線(ブレット・トレイン)が舞台になっていて、日本人では到底想像がつかないフィクション。
多少『ブレードランナー』の世界は入っていますが、全部分かった上でフィクションにしている感じがあるので、無知や無関心への違和感はありません。(ちょっと『犬ヶ島』の感覚にも似ていました。)むしろ、「そう来たか!」という、自分たちの想像を超えてくる面白さ。
例えば、新幹線がまるで飛行機のように、ファーストクラスがある。グリーン車は知っているけれども、ファーストクラスと呼んだことがない私たちはそう認識しない。バーカウンターがあればホテルのようだと思うし、スナックやドリンクを補充するパントリーがあれば、飛行機のようだと思う。停車する駅が地下鉄のように覆われていてネオンが光っており、ベンチはシルバーメタリックで、と「日本の再現」からはかけ離れているのです。
そんな新幹線という名の別の乗り物で、一番再現できていたのは、高速かつ安定した運行でした。乗った人なら分かる、あのびくともしない安定感。歩いてもよろけたりしないし、景色がみるみる動いても落ち着いて会話ができる車内空間。これこそが、日本が誇るザ・新幹線だと思いました。日本人の多くはこれを体感で経験しているので、ぜひ来日する方々にも、「すげぇ」を感じてほしいです!
多様性とステレオタイプ
日本の俳優も含め多様性があったキャスト陣。ブラッド・ピットと同じ新幹線に乗り合わせる脇役たちが、日本人、イギリスアクセントの白人・黒人兄弟、ヨーロッパ系の若い女性、メキシコ人男性、カリブ系黒人女性とさまざまです。今のハリウッド映画らしいポイントの取り方。
一方でステレオタイプな描写と言えば、日本のギャングであるヤクザ。着物もしくはスーツを着てサングラスかけて、と石原裕次郎さんみたいな出立ちのボスが出てきます。ここは笑うところ。
そして悪者はロシア人なのです。せっかく戦後から1980年代の冷戦時代を経て、アメリカの敵はソ連ではなくなったのに、またぶり返してしまいました。
この作品の中で、全世界的に一番ステレオタイプが強いなと思ったのが、若年女性に対する男性の態度でした。それを利用して動いた殺し屋がいますが、か弱く見える存在を守りたくなるのが、男性本能なんですね。
日本でロケできなかった理由
日本からの俳優代表格といえば、真田広之さんでした。もちろん『ラスト サムライ』なんかにも出ているわけですが、英語はお上手でした。
そして日本人「木村」役のアンドリュー・小路(コージ)さんは、セリフが少なかったため日本人俳優かと思いましたが、そうではなく、お父様が日本人のイギリス国籍。
でもね、日本でされる必要がなかった映画でもあり、カナダで撮影されたという事実をエンドクレジットで確認します。英語圏という事実は否めません。もちろんアメリカと地続きで移動できる利点もありますし、さまざまな交渉ごと、宿や食事の手配、すべてに通訳が入るのは厄介です。
日本の国際化レベルをもっと上げていきたいな、と思った作品でもありました!