大型スクリーンで楽しむウド・キアーの顔、『スワンソング』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
ウド・キアー主演の『スワンソング』(2021)行ってきました!わたくし、20年来ウド・キアーのファンで、彼の来日時に撮ったツーショットは家宝モノです。
本作、2021年の東京国際映画祭で上映してたのは、知りませんでした。封切り1週間して見にいきましたが、平日でも100人ほど観客が入り賑わっていました。
ではさっそくひと言です。
『スワンソング』へのひと言
ウド・キアーしかできない顔芸。
はい、顔だけではないのは分かっています。
この役、他に誰ができるだろうかと、ずっと考えていました。ウド・キアーは普通にしていれば、ブルーアイのイケメンさん。ただ、普通では終わらないのがウド・キアーなのです。 日本語で言うと「個性派俳優」なんでしょうけれども、個性派俳優という言葉が負けます。
『マイ・プライベート・アイダホ』のハンス役。ヤバすぎ。
もちろん、体の動きもいいです。 マッチョマンのように歩くこともできれば、よぼよぼちょこちょこ歩くこともあれば、瞬きひとつでクイアーのように歩くこともできる。指にはめた指輪も、瞬間的に目立たせることができます。シニアのゲイには風格が漂います。
日本でのキャスティングを考えたら、二人候補がいました。ある程度ガッチリしていること、イケメンであること、そして目をひんむくことができること。この3つが条件です。一人は渡辺謙さん。顔のインパクトがかなり近く、ハリウッド進出済みです。ただ、謙さんのクレイジーさは年齢とともに弱まっているかもしれません。もう一人は十三代目市川團十郎さん(海老蔵さん)。團十郎さんが演じると、少しサイコパスが入るかもしれません。
そして今思いついたのが、山田孝之さん。彼ならいけるかもしれない。
HIV /エイズの流行から20年
『スワンソング』のミスター・パットには、モデルとなった人物がいます。オハイオ州サンダスキーに実在したゲイのヘアドレッサー、パトリック・ピッツェンバーガー氏。トッド・スティーブンス監督ご自身もゲイで、パトリック氏とも親交があったようです。
HIV /エイズで亡くなった著名人は多くいますが、2020年代ではもう治る病気と見なされています。思わず歴史を感じる作品です。1993年にトム・ハンクスが演じた『フィラデルフィア』という作品もありましたね。オハイオ州サンダスキーという地方都市を舞台にしたのも、ほのぼの&リアルでよかったです。
ミスター・パットは最愛のパートナーをこの病気で失くすのですが、相手が男性だろうと女性だろうと、その悲しみを観客とも共有できるような演技力。ウド・キアーの魅力です。
外国語での出演
親友の死化粧をするというあらすじの本作品なのですが、『おくりびと』のように納棺師の仕事でもなく、とにかく主人公が放浪する様子を綴っています。ちょっとしたロード・ムービー。
ウド・キアーはドイツ人ですし、英語は上手ですが独特のアクセントもあります。そんなアクセントも生かしながら、伝説のゲイを演じる、アメリカ映画の主役を飾れる、そのことがすごいです。
ハリウッド大作ということではなくとも、2021年3月にSouth by Southwest Film Festival(米国テキサス)でお披露目されたのを皮切りに、世界の映画祭、それもLGBTQに特化する感じもなく、このテーマがいかに一般化したかを思わせるような展開でした。
ウド・キアー氏ご本人がゲイであることは、この投稿を準備する過程で初めて知ったのですが、彼のような逸材においてはゲイかゲイでないかは関係なく、彼の演技への見方もまったく変わりません。当たり前ですね、俳優だから俳優として見るだけですが、ウド・キアーさんが楽しく演じられたことはよく分かる作品でした。
映画公式サイト:https://swansong-movie.jp/