クセの強い脇役が見たくて映画を観る
東京で年末年始を迎えた方が、多かったようですね。
こんにちは、映画ライターのJunkoです!
もし私が映画俳優だったら、主役よりも脇役になりたいと思ってしまいます。それは、「幅広い層に好印象を与えるよりも、ごく一部のファンに強烈に愛されたい」という性格が影響しているからでしょうか。
そして、脇役には脇役でいてほしいとも思ってしまいます。リリー・フランキーさんやむろつよしさんが主役を張ると、少し悲しくなります。これも「私が見つけた」「知る人ぞ知る」的なエゴかもしれないですね。
メインに対してサブのアクションを「バイプレイ」(by-play)と言いますが、脇役を「バイプレーヤー」と言うのは和製英語で、英語ではbackseat player, supporting actor, secondary characterなどと表現します。
私がこよなく愛す脇役の3人、映画を体に覚えこませていった1990年代から活躍している方々なのですが、今となっては懐かしい作品とともに紹介しちゃいます。
スティーブ・ブシェーミ
ジム・ジャームッシュ監督、コーエン兄弟監督作品などに出ていたので、ミニシアター系が好きな方にはお馴染みのブシェーミさん。
多くの方の心に残るのがタランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』ではないかと思います。素性を明かさないために色で呼び合うチンピラたちなのですが、自分に与えられた呼称「ミスター・ピンク」を嫌がっているだけで笑える。物語の中ではとても重要な役です。
そうかと思えば、アメリカが地球を救う的なハリウッド映画『アルマゲドン』(1998)にも、ブルース・ウィリスやベン・アフレックに並んで宇宙飛行士役を射止めるなど、スゴイです。(写真では、ブルースとベンの間にいる小柄な人)
『イン・ザ・スープ』(1992)で主演を務めているそうですが、観たかどうかが思い出せません。
ジョン・マルコヴィッチ
私が親しみを込めて「マルコ」と呼んでいるのが、ジョン・マルコヴィッチさん。彼を最初に観たのが『シェルタリング・スカイ』(1990)だったので、関係性が崩壊寸前のカップルの夫役はもう見たくないほどの嫌悪を漂わせていました(それも計算済みの演技ではある)。
その後、『コン・エアー』で囚人役など、本領発揮です。彼の場合、静かに怖いのです。イケイケのニコラス・ケイジさんが主人公なのですが、マルコの存在感ハンパなく。(ブシェーミも出ていて最高!)
『マルコヴィッチの穴』(1999)などは言及の必要がないくらいですが、その後も主演に助演に、メジャーからアート系まで、幅広く活躍され、プロデュースの方も関わっておられます。
ロバート・カーライル
ロバート・カーライルさんのことは、ダニー・ボイル監督の『トレインスポッティング』(1998)のベグビー(Begbie)役で知られていると想像します。見るからに「ヤバいやつ」。
2017年の『トレスポ2』もよかったですが、カーライルさんは取材で『トレスポ3』だってできる、それはベグビーが物語の中心になりうるから、と話しています(出典)。スコットランドの同胞で『トレスポ』原作のアーヴィン・ウェルシュさんが作品『The Blade Artist』(2016)を発表していますが、これはベグビーが主人公とのこと。刑務所でアートと出合ったベグビーが、心を改めアーティストとして再び社会復帰するお話のようです。
ベグビーが主人公になったら嬉しいですが、私がカーライルさんを知ったのはケン・ローチ監督の『リフ・ラフ』(1990)でした。こちらは主演ですが、ケン・ローチ節の悲哀こもる作品となっています。
この3人の共通点は、オーバーリアクションではない形でキレてる、ぶっ飛んでる感じでしょうかね。しかも複数作品を見ることで、金太郎飴ではなく、演じ分けているバリエーションだと分かる。そこが演技の醍醐味だと思います。
本物に会えたら卒倒する順では、1位マルコ、2位カーライル、3位ブシェーミ。すれ違っても分からない1位はカーライルでしょう。
ブシェーミ、マルコにカーライル、イカした脇役たちが大好きだ!