10年経っても褪せない怪作『インセプション』(2010)
10年の時を経て、IMAXで観ました『インセプション』(2010)。クリストファー・ノーラン監督です。1970年生まれなので同世代感あり、無条件にシンパシーを送ってしまいます。
ノーラン監督の原点は『メメント』(2000)にあると思うのですが、どうしてもバットマンなどのスーパーヒーロー映画は自分の中で優先順位が下がってしまうため、これまできちんと観たことがなかったです。
『インセプション』、控えめに言っておススメです。その年のアカデミー賞もかっさらっていましたね。2010年は大震災もコロナも経験する前の世界。2020年の文脈で見る新しさもあります。
というわけで、『インセプション』の魅力をまとめてみました。
脇役が超豪華!
主役がレオナルド・ディカプリオなのは明らかですが、まず渡辺謙さんが重要な準主役で出ていること、当時から注目されていました。はい、ケン・ワタナビー。その次に、3人の美男子が続きます。
ジョセフ・ゴードン-レヴィット(Joseph Gordon-Levitt)
1981年生まれ、祖父が映画監督で、小さなころから子役で『リバー・ランズ・スルー・イット』にも出ていたそう。ダークヘアのせいか、ディーン・フジオカ風と言うか、福山雅治さんぽい表情も見せ、何となくアジアにいそうな風貌です。
作品中では、ディカプリオの相棒の一人として重要な役割を果たします。
現在はAmazon PrimeビデオやNetflixビデオに出ており、こちら『Project Power』も最近公開されたそうです。童顔のためか、今でも若々しい雰囲気ですね。
トム・ハーディ(Tom Hardy)
作品ではちょっとチンピラ風な登場をしますが、一番体力があり、ラストシーンでも大活躍します。本作以外のノーラン監督作品にも登場しています。セクシーな唇の持ち主だなーと思ってみていると、経歴には映画と演劇の双方で活躍とのこと。なんだか英国人らしい!
彼も1977年生まれなのでバディですが、2020年は『カポネ』で主役を張るよう。風格が楽しみです!
キリアン・マーフィー(Cillian Murphy)
大企業のお世継ぎ息子、ロバート・フィッシャー役はキリアン・マーフィー、アイルランドの俳優さんとのことです。私のイメージではフランス系カナダ人ぽいイメージ、非常にノーブル(上品)な風格を漂わせています。青い目が特徴なんですね。
ノーラン監督の他にも、ダニー・ボイル監督や、ケン・ローチ監督など、誰もがうらやむ監督と仕事をしています。お時間ある方は、こちら30分の『GQ』制作のインタビュー動画があります(英語のみ)。
脇役は他にもですね、大学教授であり父親役としてマイケル・ケイン(『サイダー・ハウス・ルール』)、ロバート・フィッシャーの父(現社長)役としてピート・ポスルスウェイト(『ユージュアル・サスペクツ』)など、ベテラン俳優が脇からこの映画をがっちり支えています。
良作に共通する「レイヤー」
『インセプション』を観て、改めて自分の好きな映画のタイプがよく分かったのですが、「層」がある作品がワタシ好み。特に複数の時間を扱ったり、複数の場所を扱ったり、それが前後することで観る者の思考を弄ぶような作品。『インセプション』の場合は複数の意識を扱っていおり、ゆえに複眼的な見方を提供する作品です。あと、ちょっとマトリョーシカ的なところもある。
夢というありふれた題材を使い、『インセプション』ではややアナログ的に、体を横たえて睡眠し、共有する夢の中に入ります。2020年、これはアバターやバーチャルゲームの中で実現している話と言えないでしょうか。夢の中の自分が夢を見たら?という問いを立てても、バーチャルゲームでそれこそ何人かが「別室」に行って共通体験をする、ということはあり得ますよね。現在はバーチャルの世界が、顕在意識でありながら、潜在意識のような位置づけにいるのかもしれません。
最新作チラ見せもする新しさ!
なお、緊急事態宣言後初の映画館でしたが、入場前の体温チェックや、1席空けてのシートなど徹底しており、安心して上映を楽しむことができました。
唯一『インセプション』の難点があるとすると、長さ!2時間42分、よく耐えたと自分でも思います。ノーラン監督作品は2時間超えが当たり前のよう。
しかし、『TENET テネット』プレビューが入れ込んであったのは意図的で刺激的、よかった!9月の公開前に、チラ見せしてくれました。またまた高予算な映画(なぜなら何でも爆破する)、主役はジョン・デヴィッド・ワシントン(『ブラック・クランズマン』)です。
『TENET テネット』は9月18日より上映、きっと頭が疲れますので、体調がよい時に行きましょう。楽しみ!