パリコレ学2 #3 天国も地獄もあったファッション審査

前回に続いて、 モデル自身の個性と服のよさを出せているかをチェックする、ファストファッション審査の回です。SNS時代には、ただ服を着せてもらうだけではなく、自分のセンスを発信していけることが求められます。

予告では「アンミカ大激怒!」って、そういう振り方怖い…。今回は4名の方が審査を受けました。

岡本百恵さん(21歳/176cm)

(c) MBS

アンミカ先生には「かなり絞らなければいけない」と言われたものの、顔に力がある、とカッコよさでオーディションに合格した岡本さん。今回のコーデに「自信はありますか?」と聞かれ、「はい、得意で好きな形で決めました」と回答。

結果は不合格です。私服の審査、オーディション、今回とすべて黒を基調としたコーデで、自信があるのは分かるが、デザイナーが創造性を試行、発揮する場においてモデルさんが「この印象以外にない」というのは不利です、とアンミカ先生。ファッションジャーナリストの生駒芳子さんは「体型隠し的なことも考えているか?それは初歩的な考え方。表に現れるとクールじゃない」と切り込みます。スーパーモデルのケイト・モスは171センチでO脚、すきっぱ。しかしデザイナーや編集者にとても可愛がられた逸材。自分のコンプレックスを個性に持っていけるくらいの強さがほしい、とアドバイス。

ケイト・モスさんは1974年生まれ、同世代なのでよく分かります。中性的な雰囲気が、アンダーウェアでもボーイッシュな感じで、大人気でした。

(c) Calvin Klein

今は母親のケイトさんですが、モデルとしてはスキニーで退廃的なイメージで支持されました。

おっと、つい力が入ってしまいました。

山岡美穂さん(21歳/173cm)

(c) MBS

山岡さんは、スタジオからも「平安の顔で、海外の人にウケがよい」と評されていました。今回の審査には合格です。ご自身で最初に「攻める、守らない」と決めて臨まれたそうで、生駒さんからも「メンズのシャツを前で結ばれたのは、いいスタイリングのアイデア」「タイトなスリットのあるエレガントなスカートとのコントラストがよかった」とポジティブなフィードバックをいただきます。

私個人は、すべて黒のためシャツワンピースに見えてしまい、パッと見よさが分かりづらかったです。同系色で色の変化があってもいいかな、と思いました。

審査員二人が共通して、ヘアスタイルについて指摘をします。髪の毛を下ろしてしまうと顔が大きく見え、バランスが悪く見えるとのこと。後ろで結んでいた方が、洋服も骨もキレイに見せられますよ、と。モデルは生身の人間で、顔の大きさなどは簡単には変えられませんが、変えて見せることはできる職業です。客観的な視点をいかに増やしていけるかが、山岡さんの成長のカギになりそうですね。

魚住光生さん(17歳/172cm)

(c) MBS

国内ショーで2年の経験があるとのことで、モデルとしてのスタートは早かったことが伺える魚住さん。審査員 の口から「シンプルに上手い」「レベル高い」という言葉が漏れました。見事合格です。全体のバランスがよく、イヤリングの合わせ方も上手、白、からし色、黒の3色にまとめてうまかった、とベタ褒めです。ロング&ロングで、トップスも白という膨張色のため、小柄な方は服に着られがちだが、黒いポーチをナナメ掛けすることで背が高く見えるように仕上げています。山岡さんの例と比べても、たしかにこれは目の錯覚を利用するようなマジックですね。

魚住さんは大変可愛らしいお顔立ちで、歩く時もスマイルが自然とこぼれるような、カワイイの王道を行く感じがします。もっとちがうクールな魚住さん、大人びてシャープな魚住さんも、これから見てみたい!なぜなら、出だしの評価がよい人は、のびしろが少ないとも言えるからです。

三根有葵さん(18歳/173cm)

(c) MBS

元アイドルで、新しい自分を出していくのが課題の三根さん。審査員の顔は曇り、「これはアウトやわ」「厳しい…」と痛い評価が下りました。服の理解がなさすぎる、選んだネックレスは洋服の上ではなく肌の上に着けるタイプのもの、アイドルの服で普通過ぎる、など審査員の期待に応えていないことへの「残念」が連呼されました。

アンミカ先生のアドバイスはこうです。「三根さんはとてつもなく足が長い。だったらワイドパンツをトップスと潔く合わせた方がカッコよかった」。 「(三根さんを)選んで大丈夫だったかなって思っています」と言われ涙がこぼれる三根さんに、アンミカ先生は「この涙はどういう気持ちか」と説明を迫ります。くじけそう、しんどい、今だったらやめたいという涙か、不甲斐ない、自分の思っているように成長できていないという涙か。

三根さんは、「今までの自分から変われるように勉強します」と宣言しました。考えてみれば、アイドルとして社会人経験は積んだものの、18歳です。自分の考えや気持ちを言語化して話すこともトレーニングが必要。三根さんがどこで生まれ変われるか、楽しみです。

1期生の小野寺さんが激励に!

現役パリコレモデル、小野寺南友さんが登場。学院生としての半年間が「本当に力になっています」とキラキラした表情で話します。パリに行ってあるモデルさんに会って、拒食症で悩んでいたことを伝えたいという話を聞いたという小野寺さん。「今は大好きな服を通して希望や勇気を与えられるモデルになりたい」そして学院生には、「自分もまだ成長段階にあるので、いっぱい辛い経験をして成長して下さい」とエールを送りました。

(c) MBS

ここでアンミカ先生、すかさず「落ち込む時間は全部原動力にして、パワーに変えて下さい」とフォロー。オーディションで「一流の人たちからレッスンを受けたい」「元カレを見返したい」というような理由はまったく歯が立たない理由が、よく分かりましたね。パリコレモデルになる前から、ランウェイでの自分やランウェイの後の自分まで見据えるなんて、相撲力士やプロ野球選手はそんなことを考えているんでしょうか…。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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