ステレオタイプな生命体と、そこに成立する関係——『プロジェクト・ヘイル・メアリー』
こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!
今回はSF映画『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(フィル・ロード&クリストファー・ミラー監督、2026)を観てきました。理由は、ライアン・ゴズリングが出ているからです。
宣材の見た目は、アルマゲドンですね。でも設定は少しちがいます。今回は、中学校教員が、地球を救うプロジェクトの任務を遂行するメンバーとして宇宙船に乗り込みます。
『プロジェクト・ヘイル・メアリー』へのひと言
地球外生命体とのやりとりが、どこかステレオタイプ。
1980年代、『E.T.』という映画がありました。Extra-Terrestrial(地球外生命体)です。
E.T.と少年とが心を通わせる、ファンタジーでしたね。
今回、中学校教員グレース(苗字だけど)を演じるのはライアン・ゴズリング。
そして出会う地球外生命体は、見た目は石で、足の長いクモのような形をしています。いわゆる「顔」や「目」や「口」はないですが、R2-D2のように音を出してコミュニケーションします。
途中、翻訳機を介した単語レベルのやり取りによって、会話が成立するようになりますが、ここでの問題は「ボク… たすけたい… グレース…」のように、単語止まりなこと。AIの言語モデルによって、自然な会話が成り立つはずなのに、どうしても「人間より原始的な存在」として描かれている印象がありました。
地球外生命体が、人間より100倍賢い、という設定でもおかしくない。それなのに、どこか人間が上位に立っている構図に見えてしまうところは、もったいなかったです。
そこにライアン・ゴズリング
はじめ、グレースは独りぼっちです。
独り言を言う。たたずみ、シルエットだけが見える。船外に出て宇宙船のボディに叩きつけられる。そんなグレース。
地球外生命体(ロッキーと名付けられる)と出会った当初はアンバランスな関係性のなか、関係が徐々に近づいていく。ライアン・ゴズリングの演技が光ります。
ここで思い出したのが、彼が主演した『ラースと、その彼女』(2007)。人形に恋愛感情を抱くという、ナードな役を、ゴズリングは演じ切りました。

今回も同様に、相手がどんな存在であっても、「仲間として扱う」。その力で、一見対等ではなく見えていた関係が、感情レベルでは心の通った、対等なやりとりにつながっていきます。
共通の敵は「孤独」ですから、宇宙での生活で必要な相手だったかもしれません。結果的には、文字通り、人生を変える出会いになったようです。
正直に、長い
本作の欠点があるとしたら、長すぎることだと思います。156分。
ただ、この「長さ」が意図的だとしたら、それを感じさせる役割もあったように思います。なぜか。
宇宙にひとり取り残されるという状況は、本来、言葉で説明できるものではありません。朝も昼も夜もない、月曜日も金曜日もない。時間の感覚、思考のリズム、すべてがゆっくりとずれていく。
そして、本作は現実の時間と、回想の時間が、交錯します。しかし回想は、グレース本人の記憶と同じようにおぼろげで、「どうでもいい」ものの象徴として描かれます。
つまり、宇宙に一人でいる今の自分と比べたら、どんな地球上の思い出すらも、意味がないレベル。どんな議論やいざこざも、遠いものに感じられてしまいます。
その感覚を、観客にも体験させるための「長さ」なのだとしたら、意図された設計。そして、目の前の生命体との協働や対話が、必要になってくるのです。
今日はこの辺で。
映画公式サイト;https://projecthm.movie/