敵が「それ」である『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

シリーズとして観客に愛されるなんて、これほど幸せなことはありません。『ミッション・インポッシブル』シリーズは、第8作で最終となります。今回もクリストファー・マッカリー監督、戸田奈津子さんが字幕を担当されました。

トムへのリスペクトとして観ました。前回で若返りについて述べたので、もうそのくらいしか見るものはなかったけど…。特に上空で飛行機にしがみついていた時、強風に煽られながら後頭部の髪がふさふさだった演出が、見事でした。

プレミアでの来日映像を見ても、やはりトム・クルーズはスーパースターですね。世界のどこにいても笑顔で手を振り、ファンのことを大事にする。なかなかできないと思います。

『ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング』へのひと言

エンティティと「それ」問題。

邪悪なプログラミングをされたAIが作動するのを阻止するためにイーサン・ハントらが動きますが、いつ見ても「ワイヤーをペンチで切る」「鍵を差し込む」と言ったアナログな行為が最高です。

AIは「エンティティ」と呼ばれていました。日本語だと「それ」と訳されて話題になっていました。

Entityの一般的な使い方として、例えば A company is a legal entity. (会社は法的な存在です。)のように、独立した固まりを指します。Each customer in the database is treated as a separate entity.(データベース上で顧客は個別の情報単位のかたまりとして扱われる。)のように、コンピュータでも多用される言葉です。

この敵であるAIにはイーサンのような名前がありませんし、007のようなコードもありません。「それ」だと2文字で済む、字幕上のメリットもあります。

私が訳をつけるなら、4文字ですが「あの存在」にすると思います。人間には生き物には使わないし、でも意思を持って動くもので、万能感も少し滲んでいるし、つかみどころがない感じもするので。どうしても文字が厳しい時だけ、「存在」にするのはいかがでしょうか。

馴染みのないレコニング

「ファイナル・レコニング」について解説したいと思います。

まず第8作である本作の前に、2023年に『デッドレコニング』(この時は中黒「・」なし)パート1が発表されました。

reckonという単語は、日常会話でも”I reckon”(私は思う)のように使う動詞です。名詞では、reckoningで推測と言う意味があります。

デッドレコニングは航海用語で、dead(動かない)+reckoning (推測)で、過去のデータから現在地を推測するときに使われたそうです。GPSや外的に見える目印などの標がない状態で、過去の情報、そして自分の内側の経験や勘に頼ることもあるそう。

その続きとなった『ファイナル・レコニング』では、「推測」ではなくて、むしろ「審判」の方ですね。 キリスト教で最後の審判(Day of Reckoning)という考え方もあります。

「ファイナル・レコニング」は、最後の清算や対決、今回邪悪なAIと戦ってきたので、決着をつけると言う意味でのレコニングだったと想定されます。

カタカナで英語の原題のまま使うのが主流ですし、「最後の対決」とつけてしまったら色がついちゃうので、やむを得ないですかね。でも、原題の意味や意図も少しは伝わったらいいのにと思いました。

そうそう、わたし十字型の鍵が好きです。ペアになっているペンダントほしかったな。

https://twitter.com/gendaigoods/status/1921787432229650790

今日はこの辺で。

映画公式サイト:https://missionimpossible.jp/

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

おすすめ