トム・ハンクスの声が焼き付く『HERE 時を越えて』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

ロバート・ゼメキス監督、トム・ハンクス主演作品なら、観に行こうと思った新作が、『HERE 時を越えて』(2024)でした。ロバート・ゼメキス監督と言えば、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズ(1985〜)や『フォレスト・ガンプ/一期一会』(1994)という代表作を発表しており、この時代を代表する映画監督でした。2000年の『キャスト・アウェイ』以降、実写の発表作品数はぐっと減っていますが、新作もただの実写というよりはCG活用しまくりの作品なので、彼の本領発揮といったところでしょう。

『HERE 時を越えて』へのひと言

声で分かる、トム・ハンクス。

今回なんとなく得ていた情報としては、若きトム・ハンクスから老いたトム・ハンクスを見られる、世代をまたぐ物語、ということ。

『ビッグ』の頃からトム・ハンクス知っていますから、この前の松たか子さんと一緒で、若ハンクスが人々の記憶の中にあるんですよね。これってすごいことだと思います。

さらにすごかったのが、あ、トム・ハンクスだというのが声だけで分かったことです。私は外見のディテールはあまり追わなかったのですが、ハンクスの両親や子どもなど複数の登場人物が出てくる中で、彼の声はすぐに分かりました。もちろん若い時の中高年の時で声は変化しているはずですが、それでも声は人を特徴づけるものなんですね。

トム・ハンクスのガールフレンド、妻となる人物が、ロビン・ライトで、この二人は『フォレスト・ガンプ』のコンビです。『HERE』はそういった主演俳優の歴史も背負っていて、監督であるゼメキスとともに、ちょっとした懐古の旅のようになっています。1994年と言えば、30年前ですから。

思わず、『フォレスト・ガンプ』を見返したくなります。

挑戦的で演劇的

本作はリチャード・マグワイア氏のグラフィック・ノベルが原作になっているとのことで、画面構成もユニークです。スクリーンの中にスクリーンを取り入れ、時間が交錯するように見せています。

多くの方が指摘するように、恐竜時代に遡る必要はないものの、過去100年と言えば3世代をカバーする時間軸であり、歴史的にも人々の記憶にあります。

その時間を、定点観測で主に「家のメインである居間」と「屋外から家をすっぽり移す道路」の2つのカメラ位置から見せたというのが、非常に挑戦的です。

つまり、これは演劇にもできるなというのが、容易に分かります。現時点では、演劇にする計画はないようです。

家族の在り方もまたアメリカン

日本のたとえば『ALWAYS 三丁目の夕日』的な作品を見れば、昭和30年代(1950年代後半〜1960年代前半)の夫婦は最期まで仲良く添い遂げる、というのが典型的でしょう。

一方で、『HERE』は実にアメリカ的です。つまり、典型的な日本のようには進行しません。

夫の親の介護についても、然りです。昭和の日本では、妻が担当することが多かったですよね。

そして舞台となるこの邸宅ですが、1900年頃建てられたという設定です。今日本でも100年クラスの古民家は保存が大変となっていますね。コロニアル風の住居は、やはり外壁が木材だと思うので、メンテナンスはそれなりに大変だと想像します。

ベンジャミン・フランクリンの息子、ウィリアム・フランクリンが建てたとされる大邸宅がお向かいにある設定ですが、この大邸宅はニュージャージー州の「プロプライエタリー・ハウス」のことのようです。こちらはもっと古く、1764年に建てられました。

現代に近づくにつれ、非白人の居住者も見られるようになり、アメリカ建国以降の歴史そのものも感じます。恐竜の部分は省いて、近現代史のようにしたら価値が上がったように思いますが、そこはクリエイターとして譲れなかったのでしょう。

今日はこの辺で。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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