水着よりも挑発する下着、カルバン・クライン

ビキニで海を歩けても、ブラ姿は限られた人にしか見せられないって、本当に不思議ですね。

こんにちは、Junkoです!

今見ても迫力のある1990年代の広告として、カルバン・クラインのアンダーウェア広告があります。ヨーロッパ彫刻に見るような白人男性の筋肉美を押し付けられている感じもありましたが、逆に女性は少年的と言うか、肉感を消した存在として描かれています。特に印象的なのが、ケイト・モスと… そのお相手はマーク・ウォールバーグ。1992年です。

(c) Calvin Klein

撮影はハーブ・リッツ氏という贅沢な設定。ハーブ・リッツと言えば、ギリシャ彫刻風の肉体美を白黒で撮るのがスタイルでした。ランコムのイザベラ・ロッセリーニ、GUESSのクラウディア・シファー、レブロンのシンディ・クロフォードなど、1990年代のファッション広告では引っ張りだこの存在。

(C) LANCOME

カルバン・クラインのカルバンはCalvinと書きますが、アメリカでは「キャルヴィン」ですね。フランス語っぽくCalvinはカルヴァンと読むのかと思っていましたが、Calvin Kleinはアメリカ人のデザイナーさんだし。読み方について謎が深まります。

ケイト・モスさんは当時18歳で、服を見せるのがモデルの仕事なのにほとんど裸で起用されたことへのショックやプレッシャー、マーク・ウォールバーグさんが撮影の時に紳士的でなく嫌な思いをし、神経衰弱に陥ったことを、2017年に取材で語っています(出典)。自分の体の二次性徴とも戦っている時期に、セミヌードの撮影は酷でしたね。自分が18歳の時にこれができるか、と考えてみたら、その葛藤が分かると思います。

そうそう、マーク・ウォールバーグさんですが、アメリカの俳優です。私は彼が『ブギー・ナイツ』(1997)という映画でポルノ男優の主役をやったことを記憶していますが、その前にはあの『バスケットボール・ダイアリーズ』に出ていて(たしかに映ってる)、俳優の前はニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの初期メンバーだったという、異色の経歴の持ち主。

(C) The Basketball Diaries

ラッパーとしては、Marky Mark(マーキー・マーク)という名前で活動をしており、その時のCKの広告です。スチール上では屈託のない笑顔に見えますが、CMだとチャラすぎる!

CMではMarkyによる謎のセリフで、「HIVから身を守るには、CKのアンダーウェアを履け」(”The best protection against AIDS is to keep your Calvins on.”)みたいなことを言っています。ここでは女性は意思のない浮遊物体として描かれていて、その後「これ(ケイト・モスのこと)は俺とCKの間に来てもいいけど」(”Now that could definitely come between me and my Calvins.”)という恐ろしいセリフが続きます。男性に向けた広告ですね。

https://www.facebook.com/thelastfashionbible/videos/386709215394491

1990年代の文脈では、男性用の下着もそれほど種類はなく、女性は「ヴィクトリアズ・シークレット」のエロティックな路線、さもなくばカジュアルなヘインズや Fruit of the Loom のコットンもの。CKでは男女が一緒に下着で登場し、限りなくユニセックスな雰囲気で(モノクロで)、ただとてもセクシャルに仕上がっているのは、見事なバランスだと思います。

今もカルビン・クラインはアパレルブランドですが、90年代にアンダーウェアやパフュームで財を成したと思われます。「オブセッション」のケイトも、とても魅力的。

(C)Mario Sorrenti for Calvin Klein

現在もCKでは多様なモデルさんを起用しており、カメラに作り笑顔は振り撒かず、逆に挑戦的な視線を向けている感じ。私のベストはケイトとマーキー・マークに変わりませんが、カルバン・クラインの世界観は、今も変わらずそこにあります。

ファッション広告が好きだ! カルバン・クラインのアンファン・テリブル感が好きだ!

Calvin Klein オンラインストア

https://www.calvinklein.com/jp/ja/homepage

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

おすすめ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です