ボブ・ディランへの最高の贈り物、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』

こんにちは、星読み☆映画ライターのJunkoです!

ティモシー・シャラメ推しで、『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』(2024)を観てきました。ボブ・ディランについては、超有名な曲がいくつかあるロックミュージシャン、程度の知識。予告映像を見た時も、あまりピンときませんでした。ジェームズ・マンゴールド監督作品です()。

『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』へのひと言

さて、そんな気合ゼロで観に行った結果…

ボブ・ディランにしか見えなくなる。

月並みな表現で申し訳ありません。『ボヘミアン・ラプソディ』と同じで、伝記映画を通じてご本人を知る、ということはよくあります。ボブ・ディランも1960年代から長く活躍している方ですが、アメリカの公民権運動や、世界中に起きていた学生運動などを実体験として知る人は、今の70代以上でしょうか。ボブ・ディランは今83歳です。

フォークを歌っていた頃のディラン、そしてエレキギターに切り替えたディラン。無名から有名へ、顔つきや振る舞いがどんどん変わっていきます。そして、しなやかな声にも驚きました。これはティモシー・シャラメがボブ・ディランに憑依した作品で、しかも成功していました。いやー、すごかった。ドルビーサウンドでもう一回観てもいいと思います。

クレジットを見てやっと気づいたエドワード・ノートンは、ボブ・ディランを世に押し出したピート・シーガーを演じていました。エドワード・ノートン(1969年生まれ)と同世代の私、ディランの父親的な関わりにジーンときてしまいました。

タバコ、タバコ、タバコ

今はすっかりスモークフリーの世の中になったので、「タバコ=かっこいい/不良/反骨精神」はないですね。でも、1960年代〜80年代はあったと思います。

ボブも、朝起きたらまず一本。チェーンスモーカーですから、タバコを吸っていない時はありません。喉や声を商売にしていても、依存症ですから関係ないですね。ドラッグのシーンもありますが、こういった自分の感覚を狂わせるものに頼らざるを得なかった状況が、ひしひしと伝わります。

街を歩けば気づかれる、見ず知らずの女性が群がってくる、これは恐怖にもなります。束縛を嫌い、自由を謳うシンガーが、自由でない皮肉。

大衆向けの音楽が、タバコ、ドラッグ、酒の消費とともに発展してきた時代背景を、感じます。

強い女性、普通の女性

ディランの隣に登場する、2人の女性も印象的です。

1人は、普通の町の女の子シルヴィー(実在したスーズ・ロトロに基づく)、もう1人はシンガーのジョーン・バエズ

スーズ・ロトロはこちら(2011年に他界)。劇中でも、超有名人になったボブに耐えられない様子の、普通の女の子でした。世の中の9割の女性は、こうなるかと思います。

ジョーン・バエズは、素晴らしい声の持ち主ですね。ディラン作詞・作曲の歌「You Airn’t Goin’ Anywhere」もあります。

ジョーン・バエズはいわば同業者であり、プロフェッショナルですから、何百人の観客の前に立ち、観客が何を期待しているのかを十分理解して舞台に立ちます。この業界の、一夜の男女の関係や、くっついたり離れたりも、珍しくない。ですから、個が確立され、強靭なメンタルを持っている。

女性として、さて、自分はどっちだろう、どちらになりたいだろう、と考えます。実際、どちらの女性もボブ・ディランと恋愛関係にありましたが、続きませんでした。一方は、家庭や日常の小さな幸せを望み、もう一方はプロとして世に影響を与え続けることを望みます。キャリアウーマンのお悩みも、こんなところにあるのではないかと思います。

2025年早々、よき作品に出会えて本当に幸せ。

今日はこの辺で。

Junko

1973年静岡生まれ、星読み☆映画ライター。アメリカ留学経験者、異文化交流実践者、広報コンサルタント。

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